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「鼻をすする」という不快音について

偶然Xで「鼻をすする音」に関する議論を発見したので、欧米から来た私の頭の中をアウトプットしたい。

私の知る限り日本ではそこまでではないが、少なくともドイツ周辺では鼻をすすることは重大なマナー違反である。

私は子供の頃から鼻炎だったが両親が現地の言葉が流暢でなく、私自身も鼻炎の薬があることを知識として知らないまま大人になったので、日本に来るまで治療をほぼ受けずに来た。外国籍だったこともあり国民保険に入っていなかったため、医療へのアクセスのハードルが高かったことも関係があるかもしれないが私はよくわからない。

日本人である両親が家で普通に鼻をすすることがあったからか、私も学校で同じようにすることがあったが、うっかり一度でもそんなことをしようものなら「鼻をかめ!ティッシュも持ってないのか!」と誰からもひどく怒られたものだ。

小学校の時に読まされた本(Lektüre)がある。タイトルは忘れてしまったが、ポーランド人の女の子がドイツの学校にやってきて馴染もうとする物語。この本の中で鼻をすすることに関する記述がある。

彼女がしきりに鼻をすすることが強調して描かれる。「ティッシュも買えない貧しい家庭の女の子」として描かれるのだ。
つまり「鼻をすする行為」=「貧乏人で育ちが悪い行為」であり、マナー違反というか、非常に不快な音として禁忌されている。

日本にやってきてから、ようやく私は花粉症の薬を服用できるようになり常に鼻を噛まなければいけない生活から解放されたのだが、どうしても鼻をすすってしまう瞬間はある。鼻を噛むほど鼻水が前鼻腔まで降りてきてないとか、薬を飲んでいても耐性ができて症状が改善しなくなってしまったとか。


今回話題になっていたので日本で、自習室という「静粛にすべき場所」で鼻をすすっていいのか否かであるが、重度の鼻炎持ちとしては日本という「禁忌視」されていない文化圏では多少許されてほしいと思う一方で、最低限の治療をしているかとか、そのあたりは結構重要な争点にはなりそうだ。

そもそも「禁忌視」されていないとはいえ、普通に不快に感じる人が多少なりともいることは頭の片隅に入れておきたいと同時に、前述の通りやむを得ない体質の人もいることは世間の人には知ってほしい。後者の人間が自習室で勉強する権利があるかと聞かれればあるにはあるだろうが、もっと最適な場所もあると考える一方、多少音を立ててもよくてそれが他人の迷惑にはならない個室型自習室があってもいいなと感じなくはない。自習室を利用する人はおそらく自宅やカフェだと気が散って勉強できないタイプの人だろうから。

季節関係なく突然鼻炎がひどくなる私からすると、しょっちゅう鼻をすする状態では勉強に適さないので家で大人しく寝ていた方が体のためとは正直思わなくはない。

音嫌悪症という他者が発する音に対して強い嫌悪感やイライラが出る現象もあるので、双方の努力が求められるかもしれない。


ちなみにドイツ人は一般的にTempoという4枚重ね(しかも1枚の厚さがレベチ)の分厚いティッシュペーパーを使っていて、それは一度鼻をかんだくらいでは破れたりしない。なので彼ら/彼女らはプルオーバーやセーターの袖の内側やポケットに入れて次に鼻かむ時にまた再利用する。
当時は私も現地人に倣ってやっていたが、今や「こっちの方がだいぶ汚らしくない?」と非常に疑問に思う。

#鼻水 #花粉症 #鼻炎 #アレルギー #異文化 #文化の違い #海外

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