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M-1三回戦 ゆかいな議事録のネタはヘイトなのか

流行に疎いので少し乗り遅れた形になりますが、賛否両論を読んでいるM-1三回戦のゆかいな議事録のネタについて少し語ろうと思う。

私リンジェ、外国人として20年間生きてきたので「何が差別で何が差別ではないか」「何がヘイトでヘイトではないか」については敏感なのだ。

話題となっているネタはこちら。(6:27からのリンクになっているはずです。)

とりあえずイデオロギーが左派よりの両親に見せて意見を聞いてみたのだが、口を揃えて「これはヘイトスピーチだ」と言った。母は「あまりにも直接的すぎて笑えない」とも。あとは父はツッコミの長島さんの声がやたらと大きくて音量差があるのが気に入らなかったらしく「とにかくうるさい。聞くに耐えない」と私のスマホの音量を下げた。

さて、私個人の意見だが、これは少なくとも「ヘイトスピーチ」ではないと思う。ヘイトスピーチというのは特定民族に対して攻撃的な発言をするものであって、特的の国の悪いところをあげつらったところで「ヘイト」とは言えないだろう。これがヘイトだとしたら、一昔前に流行語大賞のトップテン入りした「保育園落ちた日本死ね」もヘイトになってしまう。私自身だって海外で現地校に通っていて「日本は〇〇の理由でひどい国だ」という発言をされたことは当然あるが、それは私を貶めるためではないことはわかっているので、ヘイトとも差別とも感じたことはないし、教員も彼を咎めはしなかった。
もちろんこれで「韓国人はみんな反日だ」とか「日本人は中国人のことが嫌い」と言っていれば明らかに問題なのだが、このネタでは「韓国の政治家支持率が下がると反日に転ずる」、「内閣府のデータによると日本人の8割が中国を嫌っている」という政治的な批判にとどめていて、国民のことは何も言っておらず、民族性に言及もしていない。

この漫才が賛否両論を浴びたのは中韓という「地理的に隣接しており、対立関係にある国の政治」という点にあるように思う。中朝韓露の4地域に関しては「センシティブな話題である」と考える人はこの国には少なくない。「日本人は政治について語らない」と批判する日本人がいるが、個人的にはこういったトピックをセンシティブ扱いする限り、日本は(少なくとも国際)政治について語ることはタブーであり続けるであろうと思う。

爆笑問題などは時事ネタを漫才に取り入れる代表格だが、あくまでも国内政治にとどまっており、国際政治ネタではない。ゆかいな議事録がやったことは彼らの先駆者達が行ってきたことをよりグローバルな内容にしただけのように思う。一方でこれを今ままで誰もやってこなかったことには理由があり、「テレビで放送できないから」といういたって単純な理由である。ここでも中朝韓露の話題のタブー視が見受けられる。これは当然のことで、スポンサー企業には中韓露との取引がある企業もあるからだ。三回戦というテレビ放送に乗らないタイミングでこのネタをぶっこんだのはなかなか賢いかもしれない。

確かに山本さんと長島さんで声量が違いすぎてかなり見辛いという点については両親に同意する。まだ結成して比較的若いコンビのようなのでそこは改善の余地があるように思う。

ストレートな表現に関しては使い用だと思う。時にはそれが面白いし、個人的にはこのストレートさが気に入った。これが刺さるかどうかは人によりそうだ。やはり芸人はある程度尖ってないとと思っているタイプなので、いっそのことアメリカも、そして一周回って日本もディスれると一層漫才として完成度が上がってくるかもしれない。それに何よりこれで名が知られるのなら彼らも本望だろう。

#お笑い #漫才 #M1 #M1グランプリ #ネタ #ゆかいな議事録 #ヘイトスピーチ #差別  

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