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梅雨からは「レジオネラ感染症」にご注意を

こんにちは!

今日、6月11日は「傘の日」だそうです。全国的に梅雨入りになってきましたね

ジメジメとした湿気と気圧の変化で偏頭痛持ちの僕はしんどい季節です。。

そんな梅雨時期から気をつけたい感染細菌として、今日は「レジオネラ感染症」を記事にしたいと思います。

レジオネラ感染症で記憶に新しい事件だと、今年の3月に福岡の老舗旅館から3,000倍以上のレジオネラ属菌が検出されたことがメディアでも報道されていましたね。

私がコンサル支援する病院でも過去にレジオネラ感染症が広がり、その時は大掛かりな対策を行いました。

この記事ではレジオネラ属菌と感染症に関する特徴と感染防止対策を説明しますので医療施設の皆様はもちろん、日頃のご家庭でも参考していただければ幸いです。


まずレジオネラってどんな細菌?

レジオネラ感染症とは、一般的にレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)をヒトが吸入するによって感染します。主にに水を媒体にしており、加湿器や循環式浴槽などの装置や、温泉や河川などで誤嚥したりすることも感染源となります。

レジオネラ属菌はヒトからヒトへ感染するという報告はありません。しかし、高齢者や新生児、免疫力が低下している人はこの細菌に感染しやすく、重症化もしやすいので医療施設や高齢者や子どものいるご家庭は特に注意が必要です。また、透析患者や悪性腫瘍患者、喫煙者やお酒をよく飲む人などもリスクが高いというデータがあります。


感染した時の症状と治療法

この細菌の感染は主に肺感染症で、発熱、頭痛、咳、息切れなどの症状がみられます。もし重症化した場合だと呼吸不全や敗血症ショックなどの合併症を起こす危険性があります。

レジオネラ感染症は早期の診断・治療が重要で、治療には主に抗生物質が用いられます。レジオネラ感染症は感染症法上の四類感染症に分類されており、医療施設で医師が陽性診断した場合には直ちに保健所へ届け出る必要があります。

昨年も年間で2,000件以上の国内感染報告がされていて、そのうち80名余りが亡くなっています。


感染防止の対策は?

このレジオネラ属菌は20~45℃で最もよく増殖し、60℃以上では死滅します。そのため、水の温度を適切に管理することに加え、加湿器や循環式浴槽などの装置は、毎日水を入れ替えて洗浄することがとても重要になります。

※浴槽に湯を張る場合、遊離残留塩素濃度は0.4〜1.0mg/Lを維持するようにしてください。

病院では、公衆浴場法や旅館業法に基づく条例等に従って定期的に浴槽水や加湿器、冷却塔、飲用蛇口などからのレジオネラ属菌検査を行い、陽性率や基準値を把握することが求められます(装飾用噴水やスプリンクラーなどは見落としガチなのでご注意を)。

しかし万一、施設内での発生源が確定された場合は、直ちに給水システムの消毒を行うことが必要になりますので、専門業者と速やかな連携をとりましょう。

また、設備機器の検査と水の入れ替え管理だけでなく日々の日常清掃でも、洗面シンクや浴室(特にシャワーヘッドの取り外し清掃)など水回り消毒をルーティン的に行うことが求められます。


まとめ

レジオネラは身近な細菌であり、環境面から感染します。
人によっては重篤な感染症を引き起こす可能性がある細菌です。

しかし、そのほとんどは施設の対応により感染防止が有効になりますので、日頃の水質管理や検査、消毒を怠らないように心掛けましょう。


【参考文献】
厚生労働省「レジオネラ対策ページ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html

「医療施設における環境感染管理のためのCDCガイドライン」監訳 満田 年宏


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