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買いたかった古書店

本も現実も

振り返ると、本好き、でした。

でも、現実も興味深くて、あまり深く考えずあれこれと首を突っ込んできました。

山から降りてきたような私にとって、

社会も書籍も、ストーリーの意外性や面白みはあんまり変わらないかも知れません。

しかし一度それらが重なりそうになった時の、未練が残っています。


売出されていた古本屋さん

大学生の時のアパートの近くに古本屋さんがありました。

個人商店でしたが、レコードもあり、ジャンルも多様で、通っては楽しい時間を過ごしていました。

社会人になってもしばらく同じ場所に住んでいた頃、
店舗の前に、
「店舗丸ごと売ります。
 400万円にて」
のチラシが出ていました。

なんと家賃もいらない条件でした。

すっごく心が揺れました。

ここで思い切れば、好きな事を好きな形で仕事にできるのかー、と思いました。

当時20代前半。

軽々しく決断できることではないし、
社会人としての自信も、全く無かった。


けれど、
話くらい聞いてみたいと店を訪ね、電話して、

しかしどちらもオーナーとすれ違ってしまいました。
(お互い固定電話だったので、勤め人には折り返し依頼は厳しい。また昼休みもあるかどうかはその日次第の会社でした)



そうしているうちにポスターはなくなりました。


結局店は分かる変化がなかったので、売ったのだか、止めたのだかも良く判らず、
しばらくして私もその町から離れました。

私もその後の人生の中で、
時々は頑張って思い切って、の選択を した事もありました。

だけど、
あそこまで魅力的な選択肢が目の前に現れたことがあったかというと、

無かったかなあ、と。



現状に迷った時、今だに時々あの店が自分の前に現れる気がします。

働き始めてから一度も使ったことの無かった有給を1日くらい使っても良かったんだ。

手紙を書いても良かったんだ。

周りに泣きついてみても良かったんだ。


例え結果は一緒だとしても、
そんな風に、「ああしても良かったんだ」と、
後で思わないよう方向で、

物事を考えようと意識するきっかけになりました。


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