【お手紙】拝啓、にゃあ様へ
にゃあ様、お元気ですか?
穏やかな小春日和が続いておりますね。
今日もあなたを探し求めて
いつもの場所に散歩に出かけましたが、
あなたの茶色くて丸っこいシルエットの代わりに
紫色の美しいスミレが顔をのぞかせておりました。
念のため違うコースも歩いてみたのですが、
やはりあなたの御姿はどこにも認められず、
その代わりに浄水場の前の花壇に色とりどりの
美しいチューリップやパンジーが春の歌を歌っているのを聴くことができましたよ。
もしかして、あなたはこの景色を私に楽しんで欲しかったのでしょうか。
思い返せばあなたとの出会いも
ちょうど半年前の秋の彼岸でした。
私がお散歩コースの脇に咲いている彼岸花に
見惚れながら歩いていると、そこにおはぎのようなシルエットの茶色いあなたを見かけたのです。
最初あなたは目も合わせてくれませんでしたね。初めて出会った日は気分を損ねてしまい、
私に完全に背を向けたあなたは、
かわいいフサフサの茶色のかたまりと化しました。
それでも三顧の礼と申しますか、
何度かご挨拶をしているうちに、
あなたの方から話しかけていただけるようになりました。
心から嬉しかった。
あなたの声はとても美しかった。
それから私は毎日あなたに会うためだけに
欠かさず朝の散歩をするようになりました。
そのおかげで、うつ病の症状もだいぶ軽くなったように思います。
あの時から、いろいろなチャレンジが始まったのですから、今の私がここにいるのも半分くらいはあなたのおかげと言っても過言ではありません。
もし仮に、あなたがどこかで保護されているのであれば、これ以上の喜びはありません。
あなたにとっては
それが幸せなのかどうかはわかりませんが、
少なくともご無事でおられるのであれば
私はそれで幸せです。
どうか、お元気で。
またいつかどこかで再会できる日を楽しみにしております。
また一緒に猫瞑想しましょうね。
敬具
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?