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ただ見守るだけの彼『アーダの空間』シャロン・デドュア・オトゥ

読み終わりましたが、意味がわかっていません。

なんとか、少しでも理解したいという思いで訳者解説等になにかヒントが無いかと隅々まで読んでみました。隅々まで読んでみたところ帯にこうありました「歴史の大変動期に異なる女として個別の生をいきながら・・・」、ここにヒントがありそうな感じがします。

登場人物は3人です、主人公アーダ、彼女を見守る意志をもつなにか、そして各世代でアーダを射殺する男。

最初の舞台はアフリカのどこか、年は1459年、妖精は枝箒になっている。ポルトガル人が航海の行き先々で侵略を行っている、その被害をうけたたくさんの港のうちの一つで起きたことなのだろう。アーダを射殺する男の名はギリュルメ、ポルトガルの商人。枝箒はなにもできません、マミィがアーダを枝箒で打つときにスピードを緩めることくらいしかできないのです。

次の舞台はロンドン、年は1848年、彼は真鍮製の獅子の顔をしたドアノッカーになっています。フランス革命の余波がロンドンまで及んでいるようです。ここでアーダを射殺するのはウィリアムス、アーダの夫で伯爵です。ここでもドアノッカーはなんの役にもたちません、アーダとディケンズが不倫をしたあとにウィリアムスが現れても、アーダに緊急事態をしらせることもできずに、ただ来訪を知らせるだけです。

最後はドイツ、年は1945年、妖精はアーダの収容されている監獄の部屋になっています。ヒトラーが自殺した年です。ヴァルデマに少しの良心があれば、アーダは開放されていたかも。しかしアーダが射殺されるのは運命だったのかもしれません。

どの世代のアーダもなにかあきらめている感じがします、どの世代にもあらわれる腕輪を手にした時点で射殺による死が自分の決められた最後だとわかったのでしょう。

枝箒・ドアノッカー・監獄の部屋たちはなにもできませんが時代が繰り返されるごとにアーダが強くなっていくのがわかっていきます。かれはこのように語っています「当時ワタシは、アーダの肌(はじめは蝋燭の炎なみに薄くて脆かったのですが)が接触を重ねるうちにしだいに硬さを増すことをし知っていました彼女に暴力を加えようとした者たちにも、この肌を破るのは難しいことを。だって、アーダの肌はしぶといのです。不撓なのです。そして、すっかり硬くなる前に、どんな接触も受け入れよと言葉巧みに言いくるめようとする者たちと決着をつけるでしょう。」意味はよくわかりませんがそうゆうことだと思います。

そして2019年にアーダはイギリス国籍をもつガーナ人としてドイツにいます。彼はアーダのパスポートになっています。パスポートもアーダにたくましさを感じていると思います。人種差別はあるが生きる希望をもっているアーダ、読者の私もすこしたのしい感じでこの時代の話を読みました。腕輪を受け取らなかったのがアーダの変化を表しています。腕輪が本当にただしい場所にたどり着いたのでしょう。

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