【創作長編小説】星の見える町、化け物添えて 第4話
第4話 座像、そして、ふわふわ
町のはずれ、昼なお暗い、山の中。
ひっそりと、小さなお堂があった。
「幽玄……、やはり厄介な存在……」
格子戸の向こう、お堂の中に一人座る男が呟く。
ろうそくに照らされた、男の手には、すすけたお札のような紙。男は、身じろぎもせず床の上に正座したまま、持っている紙を眺めている。
炎であぶられてしまったかのように、黒と茶色の染みが広がってしまっているその紙には、筆でなにかの文字が描かれていた。
『肉目鬼』
奇妙な言葉だった。