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羽織の衿からコンニチハ①

こんにちはものぐさ和裁師です^^

キャプションはアンティークで購入して早めに仕立て直そうと考えている大島です。
アンサンブルになので羽織がついているのですが・・・

既にお読みの方はこちらから続きの記事をお読みくださいませ^^↑↑↑

◯あれれ?羽織ってこんなものかな?



まずはこちらの写真を。

全体的に落ち着きが悪く、着物に身体に沿っていないと感じるこちらの羽織。

上図で分かる様に、裏地が白色なので衿から羽裏が出てきているのがよく目立ちます。
衿肩周りも写真には撮っていませんがシワが入り落ち着かない様子。

この解決策を簡単に書いていきますので、気になる方は最後までお読みくださいませ^^

◯羽織、仕立ての良し悪し



※羽織の仕立ては昔から腕の良い職人にしか仕立てを任せられないものでした。
今はどうなのかな・・・職人である和裁師そのものが少ないせいもあって腕がどうのこうのと職人を選べないという現実も押し寄せている可能性もあるのかな(^^;
そもそも視覚的情報量も、着用者自身の経験値も昔には劣りますから職人からするとラッキー!!な時代になったのではないでしょうか?
怖いですよね・・・

凡そ衣服裁縫中何が困難であると申しましても、羽織ほど困難のものは御座ひませぬ、昔から羽織の衿が完全に付く様になれば、先づ一人前の婦人として通用したので御座ひます、然れば、羽織は何処が困難であるかと申しますに、衿付、衿造りの事て御座ひます、なぜ衿付が困難であるかと申しますに衿は略ぼ平に縫い付けて折りて着るもので御座います、随て衿造りの方法や衿付の方法が誤って居れば、速時に衿が半纏の様に起きて仕舞うもので御座ひます、其所で、羽織の仕立て方が一番困難であると申すので御座ひます。

大正時代の本より引用

この大島羽織の仕立てが整っていたかどうかは私が申せる範囲の事ではないけれど、その良し悪しは着用して初めて分かるものなのでしよう。
着ない事には納得出来ない。和裁師たるもの着物を着慣れて初めて一人前になれるのではないでしょうか。

◯アンティークでも仕立て直さずに着られるか?

こちらの大島の羽織、直ぐにでも解いて仕立て直したい気持ちですが取り敢えず、このまま着用するにはどんな解決策があるか?を書いていこうと思います^^

トルソーさんから降ろして良く見てみると…
↑↑完全にシワがおかしな所についてしまっていることが分かります。
長年の収納状態によるものか、そもそも仕立てが悪いため綺麗に収納できないのか色々考えてしまいますね(*_*)

○アイロンをかけて直します

まず上図のように着た時の形にしてアイロン台に置きます↑
そして矢印の方向に向かって羽裏側の布を軽く引っ張りながらアイロンをかけます。
※この時必ずアイロンのスチームはOFFにして行ってください!!温度も絹用の温度に設定して当て布を敷いて行います。

軽くアイロンを当てると↓↓↓

この様に、本来の見返りに落ち着いてくれました。
羽織の衿は上図の様に『見返り』が付いており、その返し部分がある事によって衿がひっくり返ってこない様に落ち着きます。

ついでに衿肩周りのシワもキツめに入っていましたのでこちらも同様にシワ取りを行いました。

背中心の衿折りの部分も“折り難い”と仰っている方もチラホラ見かけますので、こちらも自分で軽く折りを付けると楽に着られる様になりますよ〜^^♪

アイロンを掛ける時は必ず生地とアイロンの間に当て布を挟み、その布がいつでも引っ張れば抜く事が出来る程の力加減で着物へ当てつけます。決して力で押さえつけてはなりません。

それではトルソーさんに着せてみましょう

○応急処置後の着画

羽裏が見えなくなり左右対称になりました!


最初の着画に比べると衿が落ち着いてくれたので、この程度でしたら外に着て出かけられると思います!
もしもお悩みでしたら仕立て直す前に上のアイロンかけを行ってみてくださいね^^

着物へのアイロンかけについてはこちらも参照くださいませ↑↑↑

続きましてパート2にはその他のムムッ!!と気になったポイントを挙げていきますので引き続き読んでくださると嬉しいです。


以上、ものぐさ和裁師でした🪡


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菊瓢  kikuhisago
ものぐさ和裁師は着物と和裁の振興に貢献したいと考えています。美しい着物を未来に残していくためにサポートをどうぞよろしくお願いいたします。

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