リーマンショック以降の世界経済及び株価の動向

オプション取引を行うにおいて、株価が上昇するのか下落するのかという予想はしないことにしている。しかし、まったくしないかというと、長期的な視点は持っている。昨年は下落予想だった。足下で上昇するか下落するかはなんとも言えないが、基本的には下落基調なので毎月SQに向けては下落方向に向かう確率は比較的大きいだろうという想定で向き合っていた。それが良好な成績に繋がった面もある。今年も基本的には下方向だ。そのような想定がどのような考えから来ているのか。それについて述べよう。先ず、リーマンショックから話は始まる。日本株は90年のバブル崩壊を語らなければいけないだろうが、話は壮大になってしまう。リーマンショックでも壮大だが。あくまで素人の一個人投資家の見解として読んでいただければと思う。

リーマンショックは百年に1度の危機だとグリーンスバン当時の前FRB議長に言わしめた。バーナンキ議長は、日本のバブル崩壊の研究が専門でその研究の成果を活かして全面的な金融緩和に踏み切った。ゼロ金利からさらにQEへ。それは非伝統的手法と言われ、日銀がある意味先駆けて用いていたのだが、理論的な根拠を持って、より徹底した政策だった。これにより百年に一度の経済危機から米及び世界経済は立ち直りの道を歩むこととなった。しかし、非伝統的手法と言われるように、経済の回復とともに速やかに出口に向かうべきで通常運転に戻ることでリーマンショックは名実ともに終了することになる。しかし、QT及び利上げはあまりにも遅かった。バーナンキ議長がQEの縮小に言及すれば株価が大幅に下落し、イエレン議長も0.25%の利上げの速度はあまりにも遅かった。株価下落のリスクを恐れたように見える。リーマンショックの出口に出る前にコロナ禍が起こった。そして無制限の金融緩和が行われた。そして、世界は何か、コロナ前に戻るとかましてやリーマンショック前に戻るという発想は捨ててしまったかのように、利下げ→株価高騰の図式が当然であるかのようにそれを希求する声が蔓延している。リーマンショックで生じた歪みがどのような道筋で修正され、通常運転、経済の正常化が実現されるのか?株価上昇にだけ注目が集まり、歪みがどんどん増幅されているとするならば、最後はとんでもないことになってしまうのではないか。そのように考えていたがここに来てインフレ率急上昇、そしてFRBのタカ派転換。これは歴史の必然であるように見える。この間上昇してきた株価も上昇分をある程度吐き出さなければ経済の正常化にはならないのではないか。本来、もっと緩やかに出口に至らなければならなかったのだが出口に戻ることを忘れてしまった人々に強制的に手術することになってしまったように思える。だから株価も下がるところまで下げて、通常の経済の成長と発展に比例した上昇軌道に戻れば長期的な右肩上がりも可能になるだろうと考えられる。

しかし、これまでの株価下落は想定以上に遅く、実のところあまり下がっていない。もしかするとこれ以上はあまり下がらないのかもしれない。その場合、長期的な停滞になるのではないか。70年代ウォール街では「株式の死」と言われた。それが再来するのか。それともこれから再度下落のスピードを速めて悲鳴が出るような状況が生まれるのか。その時はやっと未来に向けての本格的な上昇が始まるのではないか。

リーマンショック以降の株価上昇は大幅な金融緩和が底流にあってのこと。それがなくなったならば、今後同じような上昇が起こるとは考えにくい。

これが私の見解である。

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