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父と抗がん剤治療4クール目の私

前回までの症状と違ったのは、点滴を射つ前から吐き気が始まったこと

治療前日に、「明日は抗がん剤治療の日、せっかく体調が良くなりかけていたのに嫌だな。」なんて言っていたら突然気持ち悪くなった。

まだ点滴を射っていないのに。

外来での治療は、元気な看護師さん達と話せるし、他の患者さんの様子が少し垣間見れて、1人では無いから頑張ろうという気持ちにさせてくれる為、楽しみにしていた。

しかし、副作用が辛すぎて治療が辛くなってきていた。気持ち悪さは副作用のストレスなのかもしれない、と思いながら病院へと向かった。

病院に行きたい理由

4クール目の治療の日は、前々から余命宣告されている父が入院している別の病院から私が治療を受ける病院に診察に来る日と同じ日だった。

父に会えるかもしれない。

楽しみでもあり、弱っていく父を見たくない気持ちでもあり、とても複雑だった。

私の診察が終わってから外来の治療室に行く途中、エスカレーターを降りながら父の姿を見つけた。父に付き添ってくれている家族が手続きをしている間、母が父の側に寄り添っていた。

父に近づこうとしてハッとした

その日に限って私は抗がん剤治療がしやすいようにウィッグではなく医療用の帽子を被っていた。

こんな私の姿を見せたら父が心配してしまう。

私は、静かに父からは見えない場所に移動した。

父は会えない間に更に弱ってしまい、診察を待つ間もベッドに横になっていた。どうしても父の側に行きたかった私は、寝ている父の頭側からなら私の姿が分かりにくいかもしれない、と一歩踏み出した。

その時、親戚の叔父と叔母の姿が見えた。父の弟夫婦だった。どうしても会いたかったのだろう。病院の入口まで来ていた。少し話せたのだろうか、少し遠目から見える父はとても弱っている様子で目を閉じていた。

叔父達にも私の病気を話していない。暫く叔父達が帰るまで待っていたが、私の治療が始まる時間になってしまった。

父と話したかったが、私の姿を見せて余計な心配はさせたくはなかった。私は、その場から離れて外来治療室へと向かった。

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