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日銀が決して円安を止められない深刻な病理構造

 結論から言うと、日銀は円安を止められません。その原因はアベノミクスによる放漫財政です。本来、1ドル500円くらいの円安になってもおかしくないのですが、それが先延ばしになっているだけなのです。放漫財政政策を止めることなく、金利を動かしても円安を止めることはできません。たとえ、国家であっても経済の仕組みに反することはできないのです。

問 金利を上げたら円高になりますか?

答 YCCを調節すれば、長期金利が上昇するように誘導することは可能ですが、金利上昇→国債暴落→日銀破綻とドミノが起こり、円は嫌われて円安になります。

問 政策金利を上げたらインフレは抑え込めるのではないですか?

答 インフレを抑え込むためには、500兆円に上る日銀当座預金に付利しなければならないでしょう。日銀は年利1%で5兆円の金利負担になりますが、日銀の年間利益は2兆円ですから、それだけで日銀は倒産します。

問 では、政府は金利を上げないようにすべきですか。

答 日本政府がこの10年間行なっている放漫財政は金利を上げる方向に働きますから、放っておくと自然に金利は上がります。
逆に、金利を抑え込むことは自由市場に逆らうことになりますから、どこかの時点で不可能になる可能性があります。一番いいのは放漫財政を止めることですが、それは事実上不可能だと思われます。

問 日銀はインフレ目標を達成したにも関わらず、なぜ金融緩和を止めないのですか?

答 金融緩和を止めたら国債価格が暴落します。これは長期金利が暴騰するということです。この状況で長期金利が暴騰すれば、市場による円高調整が起こる前に、日銀が債務超過になります。
すなわち、日銀にとって金融緩和を止めることは自殺行為なんです。

問 じゃあ、一体日銀はどうすればいいのですか?

答 何をしようとも円の価値が暴落することは不可避ですから、やがて破綻することがわかっていながら、円をじゃぶじゃぶ刷り続ける今の金融緩和を継続するしかありません。しかしながら落ち着いて下さい。円の価値低下が一度に顕在化すると困りますが、長い時間をかけてゆっくりと軟着陸させれば、問題は無くなる可能性があります。そもそも、通貨量を幾ら増やしても、超長期的には財との交換レートが変わるだけで実体経済には影響を与えないからです。

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