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美容師さんと「かわいい子には旅をさせよ」って話をした


タイトル通り。
先日、美容師さんと、「かわいい子には旅をさせよ」ということについて話した。



話は、私が「つい長男に手をかけすぎてしまっていた」という悩みを相談したところからはじまった。


まじめな性格のせいか、つい上の子である長男に意識を向けすぎて、ずっと手をかけていたようにおもうんですよね~。
でも、次男が生まれてからは、手も目も足りなくなって。
長男にずっとついていることが難しくなったんですよね。
そこではじめて、長男に過干渉になりすぎてたんじゃないかって、気づけたんですよ~。

というような話をしたところ。

美容師さんは「あー、なるほど。過干渉といえばね」と、このような話をしてくれた。



美容院には、さまざまな子どもがやってくる。
そのとき、高校生くらいの大きな子でも、お母さんが付きっきりで来ることがあるそうだ。


その子は、美容師さんがカットのあと、「これでどうですか?」とたずねると、後ろをふりかえり、ソファーで待っているお母さんの意見を仰ぐ。

すると、お母さんが「もうすこし切ってもらったら?」とか「前髪はこうしたらいいんじゃない」とか注文してきて、高校生はそれに従うのだそうだ。

それを見て、「うーん、なんだかなあ」とおもったという。



もう高校生。
自分の髪は、自分で決められる年齢のはず。
たしかに、お金を払うのは親だろう。
でも、少なくとも切ってもらった自分の髪形がどうか、自分で判断できるんじゃないだろうか、と感じたそうだ。

お母さんだって、家が遠いのなら、送迎することもあるだろう。
でも、店内でわざわざ待つことない。
買い物でもしてくるとか。
なんにせよ、もうすぐ成人を迎えようという子どもの髪形について、あれこれ指示をしつづけるのって、「過干渉じゃない?」と思ったという。


そういった、自分のことを自分で決めることや、美容師さんなどの他人に自分の意見を言うチャンスを奪っているのは、つきっきりで待っているこの「お母さん」なのではないか、と。



「もちろん、気になるのはわかるんだけどね~。とんでもない髪形や色にされたら、親も困るだろうしね」
と、笑顔で話す美容師さん。

私はそれを聞いて、自分の高校生時代を思い出していた。

私も長女で、いろいろ口を出されてきたけど、そういえばいつのまにか、美容院は自分ひとりで行くようになったな。
きっかけは思い出せない。
ただ、美容師さんに「これでどう?」とか「こうしたらいいよ」とか言われた時、なかなか自分の意見は言えなかったなあ。
いやな髪形になっちゃっても、「はいこれでいいです」って言って、帰宅後自分で切り直したりもしていたっけ。

それは、私の「自己決定の力」とか、「自分の意見を伝える力」が低かったせいなのだろうか。それとも、そういう経験が足りなかったのか。


大学生になって、ようやく親元を離れ、はじめて友達と美容院に行った。
髪を染めたり、パーマをかけたり、自分で考えて、いろいろ試してみるようになった。
失敗してくるくるパーマ頭になったこともあるし、流行りのボブカットでテンションがあがったこともあった。


そうやって、あれこれ自分でやれる環境になって、失敗をくりかえして、ようやく、美容師さんに自分の髪形の相談ができるようになった。
年数でいうと、10年。
自分の髪形について、自分で分かってくるようになって、それを美容師さんに伝えるだけ。それだけのことだが、結構大変なもんだ。



もちろん、美容師さんは、高校生が親と来ることを否定しているわけじゃない。いろんな事情もあるだろうし。
ただ、親の「過干渉」が過ぎるせいで、子どもが力を発揮するチャンスを逃しているのだとしたら。
それって、もったいないよなあ~、とモヤモヤしたそうな。


「わたしも長男にやってしまいそう・・・」とこぼしたところ、

「まあ、かわいい子には旅をさせよってやつやんな~!」と言われた。



たしかに。
美容院に行っている我が子。
自分の目の届かないところにいる我が子。
不安かもしれないし、勝手なことされては困るとおもうかも。

でも、その子がおとなになって、一人で身の回りのことを決めていくために、まずは「美容院に一人で行く経験」を積むのもありかもしれない。

実際、美容師さんからも、「一人で生きていく力をつける練習としてでいいから、子どもさん連れておいでよ~」と言われた。


知らない相手と話す。
自分の身なりについて自分で考える。
お金を払う、など。

「美容院へ行く」って、自立した生活をおくる上で必要なことがいっぱいできる。
そう思うと、子どもの経験を増やすための貴重な場のひとつになるかもしれないなあ、とおもった。





そんなわけで、私はたま~に、長男をカットに連れていく。
家で私がカットしていたが、散らかるし出来も散々なので、プロに任せようとおもったのだ。
この「かわいい子には旅させよ」の話についても、「たしかに」と思えるところがあったので。


当たり前だが、長男はまだ自分で注文なんかしないし、私も後ろで付きっ切りで待っている。
でも、美容師さんが「何が好きなんー?」という質問に、乏しいながらも受け答えしたりするのをみると、「あ、連れてきてよかったかも」とおもえるのだ。
もちろん、カットもとっても上手にしてもらえるし。
長男も「次、わたしと美容院、どっちがいい~?」と聞くと、「美容院」と答えるくらいだ。笑



「かわいい子には旅をさせよ」を練習しなければならないのは親だ。
というか「私」だ。

まずは「美容院」から、一歩ずつやってみようかな。

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