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中学不登校、でも高校受験したいと入試相談会へ来た君へ

私が教員だった時のお話です。

あの時にもっとお話をしたかったと言う気持ちが今でもあり、なかなか忘れられない彼について、ちょっと書いてみます。

私立高校の教員でしたので、夏頃には、中3の学生さんと保護者の方が模試の成績やだいたいの内申の数字を持って、入試相談会へ来てました。

そう言うご相談を受けながら、志望を聞いたり、数字を見たりしながらああだこうだとお話をするんですが、その時に、彼に会いました。

少々色白のお顔で、少し目をキョロキョロさせ、猫背気味の様子は、相談会へ来るほかの学生さんたちとそんなに変わらない姿だったので、保護者の方が通知表を見せてくださり、出席日数を指差しながら一言「不登校なんです」とおっしゃった時、正直なところ、「え、この子が?」と思いました。

私が人生で初めて出会った現役の不登校の学生さんが君でした。

お恥ずかしながら、当時の私は自校の入試の情報をあまり知らず、他の先生に立ち話で聞いた程度しか理解しておらず、中学不登校で欠席日数が多い学生さんが、入試を受けられるのかどうかさえも知りませんでした。

その場で一旦席を外して、他の先生に事情を説明をして何か方法があるのか聞きましたが、「受け入れていない」「入試を受けても不合格になる」との回答しかえられず。

あの時、私はそれをどうお伝えしたんだろう。ハッキリとお伝えをしたのか、それとも、少し俯いている君や、隣に真剣にお話を聞いてくださっている保護者の方を見ながら、あいまいな説明でその事を暗に伝えようとしたのでしょうか。

長い時間をお待たせしてしまったにもかかわらず、それに見合うだけの情報をお伝えできなかったことだけは覚えています。

あの時、私は何を言っていいのかわからず、君とほとんど会話もせずに相談を終えてしまった事が、今でも気になっているんです。

私が言いたい事はこうです。

現在は不登校だけれど、高校へ進学しようと、一歩踏み出しているんですね。そのチャレンジは、自分の人生にとって大きな財産になると思います。

さて、「本校の規定では、出席日数が足りていない生徒の進学を認めていない」とお伝えしましたが、その事があなたのチャレンジの火を弱めてしまわないといいなぁと心から思います。

自分にしっくりくる学校は、必ずあります。

それが当校でなかった事は残念で仕方がありませんが、言ってしまうと、当校は「ほぼ毎日学校に通ったかどうか」で、生徒を評価するような学校だということです。

あなたはそんな“頭の固い”学校に本当に通いたいですか?

世界は広いとはよく聞く言葉かと思いますが、世の中には、本当にいろいろな学校があります。

出席日数の取り扱いについても、公立高校ではあまり重視しない(入試の点数にて合否を判断する)ところもあるんです。

また、いきなり毎日通学することに不安を感じているのなら、通信制高校も選択肢に入ると思います。

これは「君は不登校だったのだから、全日制は無理だ。どうせ通えない。それなら通信制で妥協したらいいじゃないか。」というような、そう言う意味ではありません。

君が高校に通いたい目的、動機は何でしょうか。

最終学歴は高卒がいい?
みんなが高校へ行くから?
それが普通だから?
勉強がしたいから?
部活に入りたいから?

みんなと同じように普通の(全日制の)高校へ通って卒業したいから?

私は、君が思う“高校へ進学する目的”に合うのであれば、「どんな学校に通ったっていい」と思うんです。周りの基準に自分を合わせるのではなく、むしろ、自分が心地よく過ごせる学校(自分を基準に選んだ学校)に行ってほしいと真剣に思っています。

もし、私が学生だったなら、そして不登校だったとしたら、通う高校はそう言う自分も含め、みんなそれぞれがいろいろな事情を持っている生徒さんたちの“多様性”を受け入れてくれる学校がいいなぁって思うんです。

生徒の事情やバックグランドに理解を示してくれないような画一的な対応が多い(ルールだからと頭ごなしに指導することが多く生徒の自主性などを認めていないようば)場所は、息が苦しくなってしまうような気がします。

自分が行きたくなる(通いたいと思える)学校は絶対にあります。諦めず、探し続けて下さい。

応援しています。

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