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花桃の季節を過ぎても〜わたらせ渓谷の春

群馬県・わたらせ渓谷にある神戸(ごうど)駅。4月上旬、花桃が満開になる観光スポットだ。

浅草から東武特急に約2時間乗ると、わたらせ渓谷の入り口、相老駅に着く。そこから、わたらせ渓谷鐵道に乗り換えて約40分で神戸駅。ちなみに特急を使わないと何度も乗り換えなければならず、めんどくさい。

相老駅と、わたらせ渓谷鐵道

神戸駅に行ってみようと思ったのは四月下旬。夕刻、相老駅から、わたらせ渓谷鐵道に乗った。GWだというのに車内に人はほとんどいない。わたらせ渓谷は、穴場スポットのようだが、寂しい。

どこの駅か忘れたが、電車の行き違い待ちのホームには、季節に取り残されたように桜が咲いている。とにかく、見るものなにもかもが寂しい。桜は、新しい季節に胸躍るものの象徴とは限らない。個人的には、こうやって遅れて咲く桜よりも、真冬に、次の季節へ一番乗りしたかのように、狂い咲く桜を見てみたい。

この日は、神戸駅の一つ手前の小中駅近くの宿に泊る。ポツンと一軒ある旅館。行き届いた和の設え。花が咲いている。

料理は、ニジマスのネギソース、山菜の天ぷら、ロールキャベツなど。最後に出てきたのは、すいとん。この地方の名物だろうか。

旅館の周りは森。静かな夜。翌朝、神戸駅に向かう。花桃の季節は終わっていて、花びら一枚さえ見当たらない。

ホームに人はいない。反対ホームに食堂がある。11時から営業の知らせが出ている。いまは9時。もう開いている。メニューは、そば、うどん、カレー、ソースかつ重、麦とろ定食……。朝は食べていないけど、ご飯はいらない。メニューの中に、醤油アイスの文字を見つけた。

日本一しょうゆの、醤油あいす。500円

神戸駅から1kmのところに琴平トンネルがある。歩いて向かう。

線跡が遊歩道になっている。トンネルは短い。すぐに抜けられる。

緑の中を歩く。右手に渡瀬川。水の流れはない。途中、何匹か、クマンバチが飛ぶ。

誰もいない。このまま歩いていくと、ダム湖の方まで行けるらしい。いかなかったけど。静かに晩春が過ぎていく。


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