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取材原稿の書き方について思うこと#02〜取材失敗談

最近、取材原稿をよく書いているから、なんかお役に立てる情報をNOTEで書いてみたいなと思って書き始めたけど、前回は脱線したままで終わってしまいました。読んでくれた方、ごめんなさい😭。読んでない方、いちおう前回の記事はこちらです。別に読まなくてもいいです。

要は別に私はライターとしてすごくない。他のライターの方のNOTEの記事を読むんですが、素直に、わースゴイなと思います。ライティングスキルについてきちんと言語化できて、きちんと伝えられているのがスゴイ。じゃあスゴくない私が何を情報として提供できるかというと、例えば、取材でやらかした経験とかでしょうか。うん、今回は、それを披露しよう。読んでくれた方が、「こんな人でも取材原稿書いてるんだ。私の方が書けそうだわ」と思って、すこし気がラクになっていただけたらうれしいです。

①取材開始早々説教事件
みなさんはご存知かわからないけど、以前、料理記者歴40年の岸朝子先生に取材したことがありました(すごく前の話です)。岸さんは「料理の鉄人」という番組に出ていて、「おいしゅうございます」というセリフが有名だった方です。某料理店の料理を食べていただき、その感想を取材するというものでした。大御所の取材ということで、かなり緊張していました。おどおどした感じが伝わったのでしょう。取材開始早々、岸先生に「あなた、ちゃんと私の目を見て話しなさい!」とぴしゃりと怒られました。その後は、岸先生の目を見て話し、取材しましたが、何を聞いたかまったく覚えていません。相手がネームバリューのある方になるほど、緊張してしまい、どうしても心のベクトルが自分の方に向いてしまう。それはなにより取材相手に失礼だなと思いました。取材する時って、「聞きたいことがちゃんと聞けるかな」「途中で雰囲気が悪くなったらどうしよう」「相手を怒らせたらどうしよう」って思ってしまいますよね。でも、そういう思いを表に出すと、インタビュイーからは「ただのきょどった人」にしか見えない。だから、不安でも明るく接する。それがインタビュイーへの敬意であると思いました。あと、緊張すると早口になりがちです(私だけかな)。だから、緊張しているときほど「ゆっくりしゃべる」ことを意識しています。慌てている時ほど、動作はゆっくりした方がうまくいくって誰かが言っていた気がします。それと同じかも。

②60分の取材で、自己紹介が40分事件
と、ある取材で有識者にインタビューをしました。取材時間は60分でした。取材では、自己紹介や現在されているお仕事について伺ってから本題に入るケースが多いんですが、その方は、「では、まず自己紹介をお願いします」と言ったところ、なんと延々と40分もご自身の経歴をお話されました。最初は「もうすぐ終わるのかな」と思っていたんですが、なんとパワーポイントもご用意されていて、自己紹介が終わったのが40分後。本題は20分しか時間がありませんでした。「うわー、これは困った」と内心あせりまくりです。「どうしよう」と思いました。結局、残り20分でお聞きしたことを原稿にまとめたのですが。こういうケースはレアかもしれませんが、それ以来、ネットで調べればわかる経歴は聞く必要がないなとか、本題(たとえば、某ブロジェクトについて聞きたい場合は、そのプロジェクトにおける役割)に関することは聞いた方がいいけど、本題に関係のないことは聞かなくてもいいなと思うようになりました。特に時間が限られた取材はそうしています。他には、自己紹介40分だった場合、「もう、この自己紹介にからめた原稿にする」と考えてしまうのも一つの方法かもしれません。逆転の発想として。意外と面白い原稿に仕上がるかも。少なくとも心理的には、よゆーを持って取材ができそうですね。

③取材の質問にほとんど答えてくれない事件
結構前に、テレビにも出ていらっしゃるある方に取材したのですが、こちらの質問にほとんど答えていただけませんでした。「よくわかりません」といった感じで。これはめっちゃ困りました。原稿を書く素材がないわけですから。途中から頭がパニックです。「どんな質問したらいいんだろ。どんな質問したらいいんだろ」とあせるばかり。結局、あたふたしたまま取材を終え、原稿も内容が薄いものになりました。こういうケースに対応するには、事前にたくさん質問を用意しておくしかないと思いました。質問を考える時は、取材テーマに対して直球的なものだけでなく、話が広がる質問も考えておくといいかもしれないな。例えば、「〇〇さんおすすめの手土産について」という取材テーマであれば、「もらってうれしかった、あげて喜ばれた手土産」とか「いま注目しているお店とか商品」とか「世間で話題になっている手土産」的なことは質問事項に入れていると思うんですが、「〇〇さんが初めて誰かにプレゼントを送ったときのエピソード」とか、「バレンタインやクリスマス、誕生日の思い出」とか、「もらってうれしかった手紙」といったように、「贈り物」というテーマはぶらさずに幅広く考えておくと、原稿が面白いものになるかも。なんて、思いました。

④開始10分で沈黙事件
私が進行役で、鼎談(インタビュイーが3人で、原稿は3人が会話しているような体裁をとるもの)を行ったとき、私の質問の内容が悪かったせいか、お一人の方が、鼎談開始10分ほどで、こちらが質問を振っても「は?」という感じになり、明らかに機嫌が悪いことが伝わってきました。「どうしよう……」と心はもう泣いています。結局、3人のうちのお一人が進行してくれてなんとか鼎談は終了しました。取材に同席していた方に後で「すみません」と謝ったら、「いやー、あの方はクセが強いね。気にしなくていいよ」と言ってくれましたが。このときは、なんとか終えることができましたが、どうしたらいいのでしょう。いまだにどうしたら良かったか分からないのですが、やはり質問を広く多く考えておくことが必要かな。それと同時に、取材前に、どういう方なのか性格的なことを感じ取る力も必要かもしれません。ご本人に初めて会うのは当日ですが、こういうクセのある方というのは、その周辺の方と取材の事前打ち合わせをしていると、ナントナクそういう気配が伝わってくることがあります。たとえば、事前打ち合わせをしていて、その方の話になると、みんな少しかしこまるというか、打ち合わせの空気が、他の案件となんとなく違うなみたいな感じ。空気が張り詰めるような。そういうことを感じ取る力も必要だなと思いました。その場合、取材でのフォローをお願いできる場合は事前にしておくのも一つの方法だと思います。もちろん「え、あなたが取材を進行するんでしょ」と思われてしまうのは論外ですが、そういう感じにならないなら、助けを借りられるところは借りてもいいのではないかと思います。

今回紹介した事例は、私がまだライターを始めた頃のお話です。その頃より少しはリラックスして臨めるようにはなったのですが。でも、取材で大事なことはなんだろう……。インタビュイーへの敬意は当然だと思います。でも、滞りなく失礼なくテーマに沿って取材ができたとしても、伺った話が「それ、他のネット記事でも書いてあることだったわ」とか「あえて取材する内容だったのだろうか」ということになると、果たして良い取材だったのか?となります。そうなると、取材のお話が脱線していても、「これ面白い」とか「こんな視点があること初めて知った」みたいな反響がある原稿が書ける方が良いということになりますね。そう考えると取材ってムズカシイ……。今回のお話が誰かのお役に立てたかどうか分かりませんが、そんなことを思いました。


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