これからは給与も電子マネーの時代?
みなさまこんにちは。よこちょうです。
2回に渡って、お恥ずかしながら自分の資格取得(DCプランナー)の体験記をお伝えしてまいりました。資格を取得できても、まだまだ勉強ですね。
さて、今回からまた人事系の話題を取り上げて、考察を行ってまいりたいと思います。
今回取り上げる内容は「給与のデジタル払い」(電子マネーでの給与支払い)についてです。
この話題も色々なところで記事として取り上げられていますね。
こちらの記事では、9月25日からキャッシュレス決済サービスで給料を受け取れる「デジタル給与」が国内で初めてスタートし、まずソフトバンクグループの10社において、社員が希望すれば毎月20万円を上限に「PayPay」で受け取れるようになった旨が紹介されています。
利用者の声も良い感じですし、期待も大きいようです。また、今後他の電子マネー業者も開始に向けて進んでいるようですね。
以下、今回は、「給与のデジタル払い」に関する色々な考慮点などを考察してみたいと思います。
【給与のデジタル払いの概要】
以下厚生労働省のページです。こちらに、給与のデジタル払いについて、法令やガイドラインも含めて詳細が記載されています。
この内容をここに写せば終わりなんですが(笑)、「給与のデジタル払い」は、昨今のキャッシュレス社会を鑑み、給与の一部を厚生労働省の指定を受けた資金移動業者(つまり電子マネー業者)の口座への資金移動による賃金払いも可能としたものです。
もちろん、利用にあたっては労働者(従業員)の同意が必要となります。上記厚生労働省のサイトには、同意書や賃金の支払い方法に関する労使協定の様式例をダウンロードできるようになっています。
現在、厚生労働省の指定を受けた資金移動業者はPayPayのみですが、au PAYや楽天ペイも申請しているとのことです。
また、先の記事では9月25日からソフトバンクグループ10社で開始されましたが、特にアルバイトが多く電子マネーの利用度が高いと思われる企業においては、導入開始に向けて動きが加速するものと思われます。
【導入に関するメリット】
この「給与のデジタル払い」。メリットをちょっと考えてみますと、以下の内容があるかと思います。
電子マネーにチャージする必要がない(利用者側/従業員側のメリット)
私も、日頃au PAYを結構使っておりますが、金融機関(私の場合 auじぶん銀行)と連携してはいるものの、当然ながら不足すればチャージが必要となります。
給与のデジタル払いにより、一定額が振り込まれれば、チャージを行う手間が省けて便利になると思われます。マネープランを踏まえた運用ができる(利用者側/従業員側のメリット)
従来の銀行振り込みに加えてデジタル払いという手段が増えたため、例えばですが、公共料金や定期支払分を金融機関に、一般の生活費系は電子マネーにというように、ご家庭のマネープランを立案したうえで、給与をそれに応じて分けて運用する事でお金の管理ができることはメリットとして考えられると思います。従業員採用時のメリットとして打ち出せる(会社側のメリット)
特にキャッシュレスのパワーユーザと思われる、若年層社員・アルバイトを採用するうえで、電子マネーでの給与支払いが選択肢としてあるのは、その利便性から大きなメリットになる可能性が高いと思います。
【導入に関する考慮点】
当然、新たな制度という事で、以下の点は考慮する必要があります。
労使協定/同意書が必要となる
上でも少し触れましたが、厚生労働省のページにもあるように、開始にあたり労使協定の締結が必要となります。これは労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者と行う必要があります。また、その後に希望者には同意書を提出してもらう必要があります。また従業員には注意事項などをまとめてきちんと説明しておく必要もありますね。就業規則/給与規定などの改訂が必要となる
給与に関する支払いルールが増えますので、当然ながら就業規則や給与規定の改訂が必要になります。こちらは社労士の範疇に当たるかと思いますが、限度額や銀行振り込みとの併用に関する規定などをまとめる必要があるかと思います。改訂される就業規則をベースに労働組合/従業員代表との合意というプロセスになるかと思います。限度額があることを周知/理解する
今回の改訂において、給与デジタル払いの口座上限額が100万円以下と定められています。
電子マネーはあくまで副次的な手段という位置づけと理解している方が多いと思いますが、注意しておく必要はあると思います。現状はPayPayのみ
交通系電子マネーや他の電子マネー業者には現状対応できません。
なお、先にも記載しましたが、現状 au PAYと楽天ペイが厚生労働省に申請しているとの事で、今後は対応業者も増えてくるものとは思います。システムの確認が必要
銀行振り込みと同様、電子マネー業者への資金移動が必要となりますので、そういった仕組みを用意する必要があります。
実は私、どうやってこれを実現するのかがわかりません。。。(銀行振り込みであれば法人用のネットバンキングなどでできると思うのですが。)
【本件に関する考察】
現状、日本のみならず国際的にもキャッシュレス化は進行しており、特に日本においてQR決済は一般化しており、それに伴う形で金融社会も凄い勢いで変わりつつあることを実感できます。先日、新札発行が話題になりましたが、そもそもお財布から現金を取り出すどころか、お財布自体を持って行かないことも多くあります。
コンビニのATMもスマホで対応可能となったり、iPhoneのウォレット機能を利用する事で、キャッシュカード/クレジットカードを物理的に出すこともだいぶ減りました。
労働基準法は従来、「給与は現金払いが原則」だったかと思います。(希望者は銀行振り込みが可能)
私が学生だった頃、バイトで頂く給料は現金でした。いま思うと実に素朴なのですが、その重みやお札の厚さで自分の働きを実感できたものです。
社会人になると、給与明細のプリントだけを頂く(銀行振り込み)ようになり、さらには時が進むと明細もネットになり、、という事ではありましたが、ATMから現金をおろすという行為は25日前後の風物詩となっていたと思います。
こういう風景もだんだん過去の話となり、なんとなくですが、お金の「重み」「ありがたみ」が減ってきているような気がします。
キャッシュレス社会には抗えない状況ですので、この流れはやむを得ないものではあるかと思いますが、導入にあたっては利便性のみを考慮するのではなく、給与と家計のマネープランを検討したうえで、制度を活用していくよう願いたいと思います。
今回は「給与のデジタル払い」について、現状と考察をお届けしました。
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今回ご説明した、給与関連の就業規則改訂などは、まさに社会保険労務士事務所のテリトリーです。
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次回もぜひお楽しみに!!