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本の神様

本屋が好きだ。

結婚する前から、結婚しても、子どもが出来ても、出かければ本屋で長く過ごすので、うちの家族にとっては「本屋はサードプレイス」と言える。家の近くには大小多くの本屋があり、その都度使い分け、そして休日には少し遠くの本屋に行くこともある。個人的には、近所のあゆみブックスはセレクトが面白かったので、潰れてしまったのは残念だった。本屋さんは、広さと量が比例するから、大きな本屋さんは本が多くてかゆいところに手が届くけれど、小さい本屋さんのセレクトは、狭いからこそ厳選されて個性が出るのが面白いのだ。

本屋の中の回遊

本屋の中の回り方としては、まず雑誌売場。表紙を見ていると、特集で今の流行りがわかる。次に、本屋おすすめの棚、ビジネス・自己啓発、広告・アート、新刊の国内外の小説、心理学・哲学、占いかな。本屋によって、強いカテゴリーがあるので、順番は多少変わるけれど、そのエリアは覗く。プレゼントの時期は絵本売り場も欠かせない。同じカテゴリーを回るから、そこの棚が循環しているかどうか、店員さん(または出版者の型)が力を入れているかどうかはわかるので、自ずと信頼する本屋さんや棚は決まってくる。「セレクト最高」と心で呟き、会ったこともないその棚の担当の方と会話をしているような気もするのだ。

本との関係性

本の決め方としては、行動心理学で言うように、気になっている事柄に関する本は勝手に目に入ってくるので、それを手に取る事が多い。そして、まずは表紙と裏表紙を見た後、目次をチェック。一つでも気になるものがあれば、そのページを立ち読み。デザイン、文字のフォントとか、文字のみや絵が入るなどのテイストも見つつ、その内容に引き込まれるかどうかがポイント。興味を持ったとして、私には本を扱う3つのパターンがある。
1. 気になる内容で、すぐに読みたくて、時間があって、文章量が短ければ、本屋で読破。こういう本は、ビジネスに関するものが多い。(その後、買うこともある)
2. 目次の項目は気になるけど、今すぐでなくてもいい、全体的には読まないかもしれない、といったときには、図書館のサイトを利用して予約をする。図書館にない場合は、アマゾンの欲しい物リストに入れておく。すぐに買う決意ができないパターン。サイエンスのような本が多い。
3. 目次から少し読んで、これは全部読みたいし、再読すると思えば即購入。好きな作家さんの小説も、蔵書にしたいから即購入。そういう本は、チビチビと読み進め、終わりに近づくと、もっとゆっくり読んだりする。

Kindleも持っているし、リアルな本を読んだ後、電子書籍で購入したものもあるけれど、結局そんなに再読することはない。本はリアルなのが好き。しかし、家に壁一面の本棚がたくさんあっても、既に満席状態。新しく買う場合は、泣く泣く手放さなくてはいけないため、簡単に買って帰れないのだ。

本屋で学んだこと

広告代理店に勤めていた頃、会社には、本を置く場所はたくさんあったし、仕事柄、必要な資料として本はいくらでも買うことが出来たので、気になれば買う、という習慣もついていた。ある時、渋谷の東急本店の上にある大きな本屋さんで、あ、今、買いたい本は全部買っちゃった、という状態になったことがある。そこでは、高価なアート本も買ったし、気になるマーケティングの本も買い尽くしていた。ふと「あ、お金持ちの人って、こんな感じなのか」と何でも買えるお金持ちの疑似体験をすることが出来たことがある。これは結構いい経験で、私がお金持ちというゴールを持たないキッカケになった。よくタイトルにもあるけれど「大切なことは本屋で学んだ」と言えるのかもしれない。

先日、久々に立ち寄った本屋さんで、過去に読んだことがある本の改訂版に目が留まり、立ち読みをした。読んだことがあるくせに、その時の自分が直面していた状況にぴったりの内容で、えらく響き、なんと立ち読みながら号泣。マスク生活に感謝した数少ない機会となった。本というのは、時代を超えて、私たちを喜ばせ、救ってくれる。本当に「人生で大切なことは本屋で学んだ」な。

このことを親友に伝えたら、こう返信が返ってきた。
「やっぱり、本の神様が見守ってくれているね」
大好きな本屋で、ある本を読んで救われたことから始まって、私を理解してくれている友人の言葉、そして、本の神様が見守ってくれているかも、なんて、私がもう一度号泣したのは言うまでもない。

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