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大学入学共通テスト問題_情報関係基礎出題傾向分析令和5年度(2023年度):情報I予想

今年の大学入学共通テストで出題された情報関係基礎の傾向を分析します。情報関係基礎の出題傾向は情報Iにも繋がっていきますので、令和7年度共通テストから追加される教科「情報」の予想も念頭におきつつ解説します。

令和5年度(2023年度)情報関係基礎:第1問

問1では例年同様の小問集合が出題されました。IPアドレス、パブリシティ権、光の三原色、ピクセルが出題されています。この問題は重要キーワードを暗記しているかどうかの勝負となります。

問2では会話形式でネットワークにおける情報セキュリティの問題が出題されました。カフェの無料Wi-Fi利用、ふいに届いたショートメッセージなどへの対応が問われています。

昨今情報セキュリティの重要性が高まっていること、実際に情報技術を活用する高校生自身もセキュリティの基礎を身につけておく必要があることから、今後も出題頻度が高い分野と予想されます。

問3は論理演算に関する出題ですが、注目すべきは話題の設定と問題の構成です。「農業における生産量の低下」をテーマとし、AIやVRといった最新の技術や、グラフでの表現を扱っています。

実社会の課題をテーマとし、それを情報技術を使って解決すること、データをもとに表現することは新科目「情報I」でも重視されている点です。

令和5年度(2023年度)情報関係基礎:第2問

問1では符号化の問題が出題されました。問題の設定がソリティア帝国とシャッフル王国という、昨年の回文好きなコイケケイコさんに続きしばらくは界隈の話題をさらいそうな問題です。

問2では基本情報技術者試験などでよく出題されるパリティビットの問題が出題されました。長文穴埋め形式ですが、文章読解力と論理的思考力を駆使すると正解が導けます。

問3は暗号の解読を試みるテーマ設定の問題です。第2問を通じてソリティア帝国とシャッフル王国の問題が続いており、かつ受験生がなかなか演習などで数多く対面しにくい問題のため、集中力を維持してついてこれるかどうかが分かれ道になりそうです。

ただし、大学入試改革の方向性を考慮すれば、ある種数学の証明の問題のように、論理的思考力を働かせながら未知の問題を解いていく形式の出題は今後も引き続き出題されると予想されます。

令和5年度(2023年度)情報関係基礎:第3問

問1はプログラミングの基礎となる繰り返しや条件分岐が出題されました。共通テストではPythonやJavaScriptなどの実際のプログラミング言語は使用されず、DNCLという共通テスト専門の擬似プログラミング言語が使用されます。

DNCLについては情報教育ニュースの次の記事をご参照ください。

問2、問3は引き続きプログラミングに関する問題が続きます。第3問と第4問は選択式のため、プログラミングが得意な生徒は第3問を選択するのが吉と出ました。一回では全てがうまくいかないことはプログラミングあるあるです。それを改善していく過程を問題としているあたりに作問者のメッセージを感じます。

令和5年度(2023年度)情報関係基礎:第4問

第4問を通じて表計算の問題が出題されています。ただ、単に集計するだけでなく、その表の意味を解釈するフローが問われています。

新科目「情報I」ではプログラミング力やデータの活用力などは情報社会における問題を解決するための道具であり、問題解決力こそが高校生に養ってもらいたい力であるとしています。

なお、最後に表計算ソフトウェアの関数の説明がまとめて掲載されていました。冒頭にその旨注記がありますが、見落としてしまった人もいるかもしれません。

EXCELに馴染んでいる生徒は問題なかったと思いますが、見落としてしまって不安なまま解いていた生徒もいたかもしれません。


参考



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