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初心

ありがたいことに、SAKECOMIという界隈で知らない人はいないでろう、
ソムリエ佐々木健太さんが監修するお酒の情報発信webメディアのライターとして採用していただいた。

執筆をし始めて1ヶ月が経ったが、これほど自分の性に合っているものはないと正直思った。
記事を書くためには当然、ライター自身も補足しなければならない知識が当然たくさんある。それを調べ、咀嚼し、解釈して飲み込む。
この過程で記事は徐々に形を成していくのだが、もう一つ形を成すものがあ
る事に気づいた。
それが、自分の知識だった。

記事執筆ということは、誰かに読んでもらって誰かの為になる。
その対価としてこちらはお金がもらえる。
たったそれだけのことだと今までは思っていた。

でも実際に得られるものはそれだけでなく、執筆過程で自分の知識は増えていく上に洗練されていく感覚を覚えた。
また、その中でいかに分かりやすく伝えながらも自分の色を、つまり個性を出す事が大切なのかも理解した。

記事を書きながら読書感想文なんてものが小さい時にあった事をふと思い出した。あの時の鉛筆の文字は、今じゃその何倍ものスピードで電子状に記録されていく。ただ感想を書いて終わりだった子供の仕事は、今では自己満足の範囲外に及ぶいわゆる責任が伴う。
そんな事を思っては、自分も少しは大人になったのかとなんだか背中が引き締まった。

記事執筆中、僕の頭の中をこれまで蓄えた知が駆け巡る。
その中で適切な言葉を選ぶ。
まるでジェンガのように、細部に神経をめぐらせながらも全体を見る。
お酒の事を何も知らなかった20歳の自分を思い出す。
少し気を抜くと難解で、堅苦しい言葉を使ってしまっている。
それじゃダメだ。あんな奴にも分かるように書くんだと喝をいれる。

誰だって最初はそうだ。
人というのは何事にも徐々に慣れていく。なんて賢い生き物なんだろう。
しかし、その慣れが人を初心から引き離す。
知的好奇心、情熱、感動が混沌としている「初心」という名の原点をこれからも大事にしていたい。

ライターの仕事にほとんど儲けはない。
でもそれだっていい。
打つ点はいずれ線となり面となり形となる。
そこに色を与えるのが自分の趣味だ。

ご愛読していただける方はぜひ。




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