『まんがでわかるD・カーネギー』の感想&解説
D・カーネギー『人を動かす』『道は開ける』2冊を1冊のにまとめた漫画本のレビューです。
◆基本情報
◆所感
本書はD・カーネギー著『人を動かす』『道は開ける』の教えを漫画形式で解説した本になります。
全8章構成になり前半4章が『人を動かす』、後半4章が『道は開ける』に該当します。
まず漫画によるストーリーが展開され、各章の最後に2ページの活字+表による解説ページが設けられている構成です。
「たった170ページの漫画で原書の内容を網羅できるのか?」という疑問を感じつつ読みましたが、感想としてはカーネギー入門には十分な内容だと思いました。
D・カーネギーの『人を動かす』ですが、原書は30以上の原則の解説で構成されています(『道は開ける』は未読です)
はっきり言って、全ての原則を身につけ役立てる事は難しいと思います。
どうせ全部吸収することが出来ないのであれば、ポイントを絞った漫画版でいちばん重要なポイントをまずは押さえる、というのもありだと思います。
また、原書では「〇〇州の△△さん」という様なイマイチ実感の沸かない例が使われたりしますが、漫画版は日本人の大学生を中心にストーリー展開されるためより身近に感じられるかもしれません。
◆ポイント(『人を動かす』)
◎まず「相手を理解する」
人は誰でも心理的に①自分は正しい、②重要な存在でありたいという気持ちを持っている。
議論になるという事は相手にも相手なりの「正しいと思う理由」がある。
そして「重要な存在でありたい」と思う相手に対して議論で勝利しても、相手の自尊心を傷つけ、自分のために働こうという気にさせることは出来ない。
だからまずは「相手がなぜそう思うのか」「相手にとって"自己重要感"を感じる方法は何か」を理解することから始める必要がある。
タバコをやめさせたいのであれば「タバコをやめろ」とストレートに言うのではなく、「スポーツで不利になる」など相手の関心の高そうなメリットやデメリットを説明すると良い。
◎信頼関係を築く
人間は基本的に自分のことにしか興味がない。
言い換えれば、自分に関心がある人間にしか関心を持たない。
そのため他人の興味を引き出すためには、まず自分がその人に心からの関心を持つことが重要。
人は基本的に「自分について話したい」ため、メリットを一方的に提示するよりも相手の話をとにかく聞くことの方が重要。
◎人の自主性を伸ばす
人は自分のセルフイメージに合わせて行動する習性がある。
もし周囲から「あの人は親切だ」という評価をされていれば、不親切にするのは気まずいはず。周囲の期待どおり実際に人に親切にせざるを得ない。
人に何かを直してもらいたい場合もまずはプラス評価を心がけ、よい評価を先に与える(既に持っているかのように)ことが重要。
◆ポイント(『道は開ける』)
◎「心配」で「いま」を無駄にしない
悩みの正体は出来ない事を「できない、できない」ともどかしく思うこと。
しかしそれは「明日」のことで悩み、大事な「いま」という時間を無駄にしている。
「最悪」を想定出来ていれば、結果はそれ以下にしかならない。
「昨日のことで後悔」「明日のことで心配」はせず、「今日という締め切りだけを意識」して毎日を生きる。
◎悩みをコントロールする
悩みが多い人=不幸の数が多い人ではない。
悩みが多い人は、人より悩みやすい思考回路なだけ。
過ぎたことは3分前のことであっても誰にも修正できない。
出来るのは「いま出来ること」をやる事だけ。
◎人の善意や感謝に期待しすぎない
悩みや失望は「期待値と現実の差」で生まれる。
人の「感謝の念」というのは後天的なもので(赤ん坊は持っていない)誰にでも等しく備わっているわけではない。
あらかじめ期待値を低く見積もっていれば、失望することはないし、それ以上が得られた時の喜びも増す。
◎ないものではなく、あるものを数える
「お金がない自分は不幸だ」と思う人がいるかもしれないが、目が見えない人、家族を亡くした人など、お金より失いたくないものを失った人だっている。
自分にないものではなくあるものを数える。
また、他人と比べたがるのやめる。
◎自分の欠点を熟知する
誰よりも自分の欠点について詳しくなっておけば、正当な批判は素直に受け止められるし、不当な批判は「的外れだなぁ」で片付く。
◎疲労を予防する
「疲れたから休む」では遅い。
疲労は病気などへの抵抗力も弱めるため、「疲れる前に休む」がコンスタントに働き続けるコツ。
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