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絵合わせパズルで育てる

〇 絵合わせパズルで何を育てるの?

個別の課題でよく取り組んでいる絵合わせパズル。

市販のものや、板を切り抜いた自作のもの、2ピースから20〜30ピースのもの、子どもの興味関心に応じた絵柄などに挑戦しています。

では、絵合わせパズルができるようになるためには、どんな力が必要でしょうか?

〇 アセスメントで原因と分析をおこなう

パズルができるためには、次のような力が必要だと考えられます。

 □色の弁別
 □形の弁別
 □全体の形の構成   
 □空間認知
 □見る力、聞く力
 □目と手の協応動作
 □伝える力、人とかかわる力
 □思考力
 □集中力

これらの力が、パズルで育てたい力の観点になります。

これらの観点について、

 □ なにがどこまで、どのようにできるのか
 □ できないときはなぜできないのか

を観察し、分析することが必要です。

 例えば、
「形の弁別は、〇と□はできるが、△と▽の向きが違うと難しい。」
「2ピースはできるが、同じ柄でも4ピースはできない」
などです。

 このようにできない理由や原因はなんでしょうか。

 考えられることは、
「△の理解、向きと方向の理解が十分育っていない」や、
「色には注目しているが、形をとらえられていない」
「選択肢が多いと集中が途切れてしまう」
などです。

 そこで、この力を育てるためにはどんな種類のパズルが良いのか、を考えます。
 課題に適した教材づくりをしなければいけません。

〇 目と手の協応動作の段階

 また、発達の段階を丁寧に見ることも大切です。
 パズルの絵を合わせるためには、「目と手の協応動作」が大切です
 目と手の協応動作は、次の3つの段階を追って発達していきます。

1)手が先に動く
 2)目と手が同時に動く
 3)目だけで動かす(頭の中で操作する)


 この観点で、子どもの目の動きと動作を丁寧に観察します
 どの段階まで育っているのかを見極めましょう。

〇 次の課題はなに?


* 例えば、Sさんは、2ピースの車の絵合わせパズルは、あっという間にできるようになりました。
 同時に10種類を提示しても、選ぶことができます。

* 絵柄が好きな車であるため、全体の形と色を的確に見分けて絵合わせができているようです。

* そこでパズルでめざす次の段階の課題を4案考えてみました。

A案…
<ねらい>
形に注目して、全体の形を構成する。
<手続き>
車の形で切り抜き、裏面を提示してシルエット(形)だけで絵合わせする。裏返して形になっていれば正解。

B案…
<ねらい>
細部に注目してものとものとの位置関係を理解して形を構成する。
<手続き>
1台の車の絵の中を、パーツにして「ふくわらい」のように絵柄を完成させる。

C案…
<ねらい>
縦・横・斜め・不規則など空間関係、位置関係を理解してパーツを適切に合わせる。
<手続き>
絵カードの切り方を、縦、横眼、斜め、不規則、2片、3片、4片など形の異なるピースを用意する。提示は1種類ずつ、複数、裏表などランダムにする、など難易度を子どもの課題に応じて変化させる。

D案…
<ねらい>
好きなもの以外に興味の幅を広げ、色・形の細部に注目できるようになる。一方的な要求だけではなく、適切なやりとりができるようになる。
<手続き>
のりもの、たべもの、カトラリー、文房具…などシリーズで作る。実態に応じて、複数のカテゴリーを混ぜて提示してもよい。

【教材づくりのポイント】

* 「絵合わせパズルができるようになる」というのは、行動レベルの目標です。
 この目標だけでは、子どもの育てたい力は明確ではありません。

 上記のような観点に従って、丁寧にアセスメントし、適切な内容のパズル=教材を用意する必要があります。

* そして、先生が「正解!」と言わなくても、自分で答えが合っていることが確認できる教材を作りましょう。
 生活の中で、先生がいつもそばにいて、正解を教えてくれるわけではありません。

 また、「できた!」と達成感が感じられることで、次に向かう動機づけにもなります。

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