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【Zatsu】闇深な自販機9
おれは気づいていた。残された時間、決して多くはないと。
前回、ありのままのカノジョを受け止めようという試みは、その想いだけが空回り。伸ばした手は空をつかむばかりで、やっと手にしたものは己の無力感だけだった。
けどな、このままじゃ終われない。終わるわけにはいかないんだ。
2023.02.05(Before)
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2023.02.11
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2023.02.14
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2023.02.18
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しかし……ここで事態は風雲急を告げる。
2023.02.22
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しかし、ここでおれはふと立ち止まった。これはどういう問題なんだろう。どう解けばいいのだろうか。この段階まで来て、いまこのタイミングでこのラインナップ改変だ。何もないわけがない。
あるはずだ、何かしらオーナーさんの狙いが。
どういう謎解きなんだ。
どれだ? いったいどれが正解なんだッ!
この日はいたずらに時だけが過ぎていった。しかし、翌日、ひとつの記憶がふと頭をよぎった。
「おめでとう、joshくん。アナタの気持ちは、きっとオーナーさんにも伝わったと思うよ😊」
そ、そうか……。そういうことか。
コール&レスポンス。おれのアプローチに対するメッセージってわけか。
センターの緑茶の缶にある商品名「あなたのお茶」。あなたの、つまり、おれの、ってことか。まさに、おれのために用意された商品。オーナーさん、粋なことしてくれるぜ。
おれは財布をひっつかむと、次の瞬間には家を飛び出していた。
2023.02.23
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――その夜。
おれは夢を見た。
歩いている。闇の中、失意にうなだれたまま、どこまで続くかもわからない道を、ひたすらまっすぐ進みながら、ひとつの疑念に頭を悩ませていた。
ひょっとすると、これは負けイベントなのかもしれない。おれは……からかわれているだけなのかもしれない。
そうさ。普通だったら、せいぜい10本くらいで売切ランプが点灯、そしてめでたくゴール、次の展開へ、というのがセオリーだ。でも、現実は買っても買っても先が見えない。これはどう考えても。
いや、だめだ。こんなことで挫けてどうする。ここであきらめたら、だれがあの子を救ってあげられるんだ。おれしかいないだろ。自分で幕引きするなんて、どうかしてるぜ!
ふたりの自分が頭の中でせめぎあう。
も、もうやめてくれ。つらいんだ。苦しいんだ。くそ、なんでこうなる? おれはどうすればいい? おれ……ひとりでは、もうこれ以上……
そのとき、頭のなかに女性の声が響いた。
「……ねが……ます」
――なんだ? 気のせいか?
「……ねがい……ます。応答……願います……」
――いや、気のせいじゃない。雑音がひどいが、確かに誰かがしゃべっている。声が徐々に鮮明になるにつれ、切迫した空気が伝わってきた。
「応答願います、応答願います。こちら、宇宙船地球号。緊急事態です。だれか、だれか応答願います!」
「そ、その声は――あっちゃん?」
「だ、だれかいるの? すみません、雑音がひどくてそちらの音声がよく聞こえません。こちら緊急事態。あなたの、あなたの助けが必要なんです。こちらにきて……んです。いまは詳しく話せ……でお伝えし……。お願い!」
プツッ。通信は途切れ、それ以上は何も聞こえなくなった。
目が覚める。なんだったんだ。わけがわからない。
わからない、がしかし、ひとつだけわかったことがある。
おれは……ひとりじゃない。そう、ひとりじゃなかったんだ。
「忘れていた? ハハ、どうかしてるぜ」大きなため息ひとつ。
「あの程度で音をあげてどうするよ。10本でだめなら15本、それでだめなら20本。こうなりゃ、とことんまで付き合ってやるさ」
おれはバッグに手を伸ばした。
「緊急事態で呼び出しか。まったく、人使いが荒いぜ!」
2023.02.26
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ん? ファースト……ん? よくわからないが、とにかく今回の勝負には勝利したようだ。
でも、入荷したばかりの緑茶がこれだけの勢いで一気に売切れたんだ。さすがにオーナーさんもこの緊急事態には気づくだろう。
――というか、おれが自販機の前にお茶を並べて大量購入していた時、短時間に繰り返されるビーゴトン、ビーゴトンという機械音をききつけて、おれの背後に人の気配を感じたんだよね。
あれ、気のせいだったかもしれないケド😅。
ともあれ、この勝負は大きな局面を迎えた。
The show must go on.
時代の荒波に翻弄されつつも、必死にもがきながら新天地を目指すおれたち。一体、どうなってしまうのか!?
のんびりとお待ちください(注:何も起きない場合があります)