リフティングを●●回以上できないと試合に出さないぞ!の話(なんでこれを言ってしまうコーチがいるのか?)
おはようございます。
Twitterでは相変わらず、
「リフティングを●●回以上できないと試合に出さないぞ!」のコーチがいる
の話であふれますね。はい。
私もそれにまつわる話をたくさん観てきました。ジュニアの指導者なので。
あとそれと、あらかじめ申し上げますが、私は自分のチームの選手にはリフティングをやらせますが、「リフティングの回数」を試合に出る・出ないの基準にはしません。
(ある程度の能力の目安にはしますが)
さて、本題です。話は2つに分かれます。
❶コーチはなぜ、その基準を設けるのか(親御さんに理解してほしいこと)
これは私も若い頃、選手たちにこのような課題を課したことがありますので、気持ちはわかります。
コーチがなんで、選手たちに、
「リフティングを●●回以上できないと試合に出さない!」
と言ってしまうかと言うと、選手の中には、
“週末の練習には参加するけど、家ではまったく練習をしないから、技術の能力が一向に上がらない”
“練習と試合には来てくれるけど、それ以外の時間にはサッカーに触れてくれないから、サッカーに対してのやる気が全然上がらない”
このような選手がいるからです。
さらに、コーチは恐らく自分自身がサッカーを好きだったり、やる気があったので、子どもの頃は熱心に自主練でリフティングに励んでいたのでしょう。だから自分が教えている選手たちの「やる気の無さ」や「技術の低さ」をみて、
“あーあ、オレが子どもの頃は毎日一生懸命リフティングをやってたぜ…。なのに今どきの子どもたちときたら全然自主練をやってこないから、困ったもんだぜ………”(嘆)
“小学生のサッカーはヨォ、技術力がモノを言うんだよナァ…。だからまずはリフティングを家でやってくるようじゃなければ、話にならないんだよナァ。今の選手はそれがわからないからカワイソウだよナァ……”(あわれみ)
こんな気持ちになってしまったのでしょう。
さらに、こういったコーチの中には、かつては子どもたちの前で何度か、
「自主練もがんばってきましょう!」
「サッカーが上手くなりたかったらリフティングぐらいは家や学校でがんばってやってね!」
などと優しく言ったけど、それに対して子どもは全然やってくれなくて、悲しい思いや辛い思いをされたこともあるんじゃないでしょうか。だから今の選手たちには、
“強制的にリフティングをやらせなければ自主練をやってこない”
という判断をして、リフティングの課題を強制的に課してしまうのだと思います。
ですから、そういうコーチがいるチームに入ってしまった親御さんは、
『あ、このコーチは練習以外のところで自主練をやってきてほしいのね』
『サッカーは、週末の練習と試合だけでは上手くならないんだ。じゃあ活動日以外にも練習をやらせてみよう』
などとコーチの意図(言いたいこと)を理解して、子どもがどうしたらリフティングに励めるようになって、リフティングの回数が上がるようになるか、一緒に考えてあげるといいんじゃないかなぁと思います。
私が口で言うのは簡単で、親御さんにしてみたら実際に頭と身体を動かすのは大変ですよね。しかし、コーチの言うことはあながちまちがってもいないんです。
大変ですが、子どものサッカーという世界は親御さんとコーチと選手が三位一体の協力体制をとることで、よりよく上手くなり、よりよく成長していく世界なのです。
ですからご自身のお子さんが少しでもサッカーが上手くなってほしい、試合で活躍してほしいと願うのならば、親御さんのほうからも協力体制の思考でいるほうが、子どもにとっとも良いのではないかと思います。
ご苦労は絶えないかと思いますが、毎日少しずつ、がんばってみてください。
❷じゃあコーチのほうはどうすればよかったの?
コーチの事情や言い分は❶でご説明しましたが、それでも、
『強制的にリフティングをやらされるのは、ヤですよ』
『他の習い事もあるし、自主練をやらせる余裕もないから、リフティングができないと試合に出さないなんてのは困るわ』
という親御さんは確かにいます。いるのはしょうがないですし、そういった親御さんの子どももチームを離れさせるわけにはいかない時代にはなっていると思います。実際に今はそういったチームからの強要や強制が嫌でチームを離れてしまう親子さんは多くなってきています。
なので「リフティングが●●回以上できないと試合に出さないぞ!」といった強制はまずやめたほうがいいと思います。他の記事でも話したことがありますが、子どもへのコーチングは命令型よりも提案・依頼型です。
「練習以外の場所でもリフティングをやったほうがサッカーが上手くなるよ!」
「リフティングの練習をがんばったら、パスやシュート、ドリブルだって上手くなるよ!だからやってみない?」
などと提案型や依頼型で選手に伝え続けるほうが、選手はやりたくなるし、「やってみよう!」と思うと思います。
そしてさらに、練習と練習のあいまにリフティングをやっている選手がいたら、必ず、
「おー!◎◎選手はリフティングの練習をがんばっているのか!」
「◎◎選手はリフティングの練習をがんばっているから、サッカーが上手くなっているのか!!」
などと、わざと選手たちの前でリフティングをがんばっている選手を褒めたり評価したりするのです。子どもは他の子どもがやっていることや、他の子どもが言われていることは自然と気にしていますから、コーチが強制しなくても、自然とリフティングに意識が向いていくと思います。
結果的に自主練をやる選手はしだいに増えていき、「やらされている」「強制されている」といった嫌な気持ちを起こさずに、選手たち一人一人が気分よく、モチベーションを上げながらサッカーに励むチームになるように向かっていくと思います。
(そのほうがよくないですか?)
それでも自主練をやってきてくれないコがいる!どうしたらいいんだ!!!
私の経験観測では半年ぐらい我慢して、それでも全く自主練をやってこない選手がいたら、それは「そこまでの選手だった」ということで諦めるか(ほっとくか)、その選手にだけ、
「あなたはコーチがいくらリフティングを自主練でやってくることを提案してもやってくれないのだが、それはなぜなんですか?」
と質問をしてみて、事情を理解の上で、
「自主練をやってきたほうがサッカーは上手くなるのだが、やってきてくれないのか?やってきてくれなければ、課題として●●回やれるようにしてもらうことにしますが?」
などとさらに個人的に提案をしてみるしか、方法は無いと思います。
それでもやってこない…
そのときはそのときです。ほっとくしかないと思います。コーチのほうもベストを尽くしたのですから、そこまでして自主練をやらない選手なのでしたら、よっぽどの事情があるのでしょう。コーチのほうには理由は無いので、コーチは自分のことを責めないほうが、メンタルヘルス上にも健康でいられると思います。
どちらにせよ、『強制』というのは子どもや親御さんにしてみたら抵抗があるものですし、気持ちは確実にいったん下がります。
また、どれだけ能力の高い選手でも、チームが良い成績を上げるチームでも、『強制』というのは『やらされた感』が出てくるので、そのコーチにはマイナスのイメージがつくことになると思います。リフティングがどうのとか、自主練がどうのというよりも、『強制』をしてしまうコーチにマイナスのイメージがついてしまうことが、後の指導の成功・不成功に確実に影響してくるので、『強制』という手段をとることが避けたほうがいい事案かと思います。
コーチにせっかく情熱や優しさがあるのに、『強制』という手段をとってしまってイメージを下げたらその情熱や優しさも台無しだよなと思います。
コーチは我慢や忍耐との戦いの連続だとは思いますが、がんばってください。
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