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私の作品紹介4 身近な人に「へぇ〜」と言わせる意外な話1000

朝日新聞社から出した雑学本。奥付を見ると2003年8月発行とある。この時はまだ朝日新聞社が分社化する前で、朝日新聞出版という会社はなかったようだ。
なんで朝日新聞社から雑学本を出したのか。古い話なのでよく覚えてないが、Amazonのレビューに「フジテレビ系の『トリビアの泉』の影響で発売されたと思われる雑学本です」と書いてあるから、そうなのかもしれない。が、当初の企画意図は「話し下手の人に、会話のきっかけを提供する」というものだったような気もする。
「とにかく話のネタになるものを1000個集めよう」という「数で勝負」の企画だったので、1000個集める作業が大変だった。巻末の参考文献一覧には100冊以上の本が並んでいるが、よくもまあ、これだけいろいろ読んだものだと思う。

どんなトリビアが載っているのか。とにかくいろいろあるのだが、定番の言葉ネタからいくつか紹介しよう。

▼意外と奥の深い言葉

0757……………………赤の他人
赤の他人の「赤」は、英語のアクアと同じで、サンスクリット語で水を意味するアクガが語源。赤の他人とは「水のように冷たい他人」ということ。

0758……………………バカ
サンスクリット語で「無知」を表す「バカ」または「モーハ」が語源。「馬鹿」という字は、秦の時代、鹿を馬だと言い張ったバカな男がいたという故事から来ている。

0759……………………オツな味
邦楽の「甲」(甲高い音)と「乙」(低くて渋い音)が語源。オツな味とはさしずめ渋くて上品な味。

0760……………………海千山千
海に千年、山に千年住んだヘビは竜になる、という言い伝えから出た言葉。

0761……………………醍醐味
奈良時代、牛や羊の乳を精製したヨーグルトのような液汁を醍醐といった。醍醐は仏典から来たもので、仏法を「最高!」とたたえる言葉。そこで、「最高においしい」味を醍醐味というようになった。

0762……………………大黒柱
大黒天は厨房の神様。昔の日本の家は台所の近くに太い柱を配置していたことから、「家を支える柱=大黒柱」となった。台所に太い柱を置いたのは地震対策から。

0763……………………ユートピア
ギリシャ語のウ・トポス(どこにもない国)が語源。

▼人の名前から生まれた言葉

0764……………………べらぼうめ
大阪道頓堀の見世物小屋にいた便乱坊(べらぼう)の名が由来。「べらぼうめ」は江戸っ子の専売特許になっているが、実は、大阪生まれ。

0765……………………八百長
江戸時代の八百屋、山本長造が、お得意と碁を打つとき、わざと負けて相手のご機嫌をとったことから、こういうようになった。

0766……………………キンピラ
「足柄山の金太郎さん」でお馴染みの坂田金時の息子、坂田金平の名が由来。金平は父の金時と同じように怪力無双で、「これを食べると、金平みたいに強くなる」ということから、キンピラゴボウという名がついた。

0767……………………土左衛門
江戸時代の力士、成瀬川土左衛門が由来。成瀬が青ぶくれしていたので、水ぶくれした水死者を「土左衛門のようだ」というようになった。

0768……………………市松模様
江戸時代の歌舞伎役者、佐野川市松がこのデザインの袴をはいていたことから、市松模様といわれるようになった。市松自身がデザインしたという説もある。

0769……………………ボイコット
あこぎなことをやりすぎて赴地の農民からシカトされた、アイルランドのボイコットという人の名が由来。

▼聞かなきゃわからない語源

0770……………………マッキントッシュ
日本には出回っていないが、アメリカでは知られているリンゴの品種名。アップル社のロゴのリンゴマークがかじられているのは、コンピュータ用語のbitに「かじる」という意味があり、それにひっかけている。ちなみに、「アップル」という社名がつけられたのは、創設者のスティーブン・ジョブズの好物がリンゴだったから。

0771……………………ブス
トリカブトの毒である「付子(ぶす)」が語源。この毒が体に入ると、思考力が低下し、デレっとしただらしない顔になることから、そういう表情をした人をブスというようになった。

0772……………………小倉
「小倉あんパン」「小倉ようかん」「小倉アイス」などと、あずきの入っているものを「小倉」というが、これは京都の小倉山が由来。あずきの粒々が、小倉山の紅葉の様子に似ていることから、こう呼ばれるようになったという。

0773……………………泪橋
「あしたのジョー」で有名な橋だが、昔はこのあたりに千住小塚原刑場があり、泪橋はそこへと通じる橋で、囚人たちは涙を流しながらこの橋を渡った、というのが由来。ちなみに、千住小塚原刑場は吉田松陰が処刑されたところ。

0774……………………北海道
北海道は明治2年に生まれた地名。開拓使判官、松浦武四郎が提案した「北加伊道」から。「アイヌの人たちが自分たちの国をカイと呼んでいるから」というのが提案理由とされている。なお、他の候補として「日高見道」「海北道」「海島道」「東北道」「千島道」があった。

0775……………………素人
平安時代、白粉を塗っているだけで何の芸も持たない遊女を「白人」(しろひと)といい、それが転じて素人になった。

0776……………………女郎
身分の高い人を指す「上臈(じようろう)」が「女臈」に転じ、「女郎」になったという説がある。

0777……………………ゆびきりげんまん
江戸時代の遊郭で生まれた言葉。ゆびきりは指切り。げんまんは拳万。つまり、拳固で1万回叩くということ。「私との約束を破ったら、指を切って、拳固で一万回叩いて、針を千本飲ませちゃうからねえ」という意味。そんなことをされたらたまらないが、昔は客に誠意を見せるため、本当に指を切った遊女もいたという。

0778……………………三行半(みくだりはん)
江戸時代、夫が妻に出した離縁状の俗称。実際に三行半しか書かなかったことから、こう呼ばれるようになった。

0779……………………ひやかし
江戸時代、山谷の紙すき職人たちが紙の原料を水に冷やしているちょっとの間に、近くにあった新吉原に出かけては女を買う気もないのにからかっていたことから、今日の意味がついた。

0780……………………下らない
江戸時代、上方から江戸に流れてくる品は「下り物」と呼ばれ、重宝がられた。一方、土地の物は劣悪なものばかりだったので、「劣悪」→「下り物でないもの」→「下らない」という言葉が生まれた。

0781……………………チャキチャキ
「チャキチャキの江戸っ子」といえば「生粋の江戸っ子」という意味だが、このチャキチャキは、擬音・擬態語ではなく「嫡嫡(ちやくちやく)」というれっきとした漢字から来た言葉。「源氏の嫡嫡」といえば、源氏の血を引いているという意味。

0782……………………やばい
昔、刑務所では、看守を「やば」といい、やばいときに「やば、やば」と言い合ったことから、今日の意味になった。

0783……………………しかと
バクチの世界で生まれた言葉で、花札の鹿の絵がそっぽを向いていることから、今日の意味で使われるようになった。

0784……………………へなちょこ
「へな」は黒色の粘土のことで、「ちょこ」はお猪口のこと。黒色粘土の「ちょこ」はできが悪い、ということから、今日の意味で使われるようになった。ちなみに、へなちょこは明治時代に生まれた言葉なので、時代劇で使われていたら、何かの間違い。

0785……………………へのかっぱ
もともとは「木っ端の火」で、木っ端に火をつけるのは簡単ということから、今日の意味ができ、「木っ端の火」が「かっぱのへ」に転じ、さらにひっくり返って「へのかっぱ」になった。

0786……………………ため口
「ため」はお駄賃のことなので、ため口は、目下のものにお駄賃をあげるときのぞんざいな口の利き方をさす。目下のものに対して「ため口ききやがって」と怒るのはいいが、同じ年齢のものに「おれとおまえはためだろう」というのは、本来の意味からするとヘン。

0787……………………下馬評
昔、主人は「下馬」「下乗」と書かれた高札のところで馬を下り、家来たちはそこで、主人の帰りを待った。その間に家来たちは無責任にわいわいがやがやと批評をした。ということから、今日の意味がついた。

0788……………………地下足袋
地下足袋といえば、高いところで仕事をする鳶職のトレードマークだが、もともとは地下で仕事をする炭鉱夫のために開発されたものなので、こういう名がついた。最初に地下足袋を作ったのはブリヂストン。今はタイヤメーカーとして有名だが、もともとは仕立屋ということ。

0789……………………呉服
呉服の「呉」は中国のこと。日暮れの方向にあることから、昔はこう呼んだ。和服を売っていても呉服屋というのは、もともと機織りは中国から伝わったものだから。

0790……………………孫の手
中国から伝わったもので、もともとは「孫」ではなく「麻姑(まこ)」の手。麻姑は伝説の仙女の名。

0791……………………梅田
大阪の梅田一帯は、もともとは沼地。そこを埋め立てたので「埋めた」が「埋田」になり、「梅田」になったという冗談のような由来。

0792……………………麻布十番
江戸時代、このあたりで河川工事があり、そのとき「10番目の工区」とされたことが地名の由来。麻布の十番町というわけではない。

0793……………………八十二銀行
新潟の第四銀行、仙台の七十七銀行などは認可番号をそのままつけたものだが、長野にある「八十二銀行」は82番目の銀行という意味ではない。この数字は、第十九銀行と第六十三銀行が合併したことで生まれたもの。つまり、19+63=82。

0794……………………山本五十六
本名。父親が56歳のときの子だったことから。

0795……………………西条八十
本名。この子が苦労しないようにという願いを込めて、九を抜いて八と十で名づけたという。

0796……………………カメラ
イタリア語では「部屋」という意味。「camera singola(ホテルのシングルルーム)」などと使われている。カメラの語源はラテン語のcamera obscura(暗い部屋=暗箱、ピンホールカメラ)。

0797……………………エルニーニョ
スペイン語で「神の子」の意。クリスマスの前後にこの現象が起きることから、この名がついた。

0798……………………サボタージュ
サボタージュのもともとの意味は木靴。ストライキのとき、労働者が木靴で機械をガンガン叩いて気勢を上げたことから、ストライキをすることをこういうようになった。

0799……………………?
猫の尻尾の形が由来という説がある。

▼なんとなく語源が推測できる言葉

0800……………………小田原提灯
そのショボンと垂れた姿が似ていることから、江戸時代はインポのことをこう呼んだ。

0801……………………ナイトフラワー
かつら会社が開発した女性の下半身用カツラの商品名。

0802……………………H
「変態の頭文字」から来たといわれているが、英語の「lech」(情欲、好色)が訛ったという説、「助平」の「助」(help)から来たという説、G(Girl)の後ろにくっついているからという説などもある。

0803……………………花王石鹸
「顔石鹸」をもじったもの。

0804……………………三面記事
社会面を「三面記事」というのは、明治30年代まではほとんどの新聞が4ページ建てで、3面を社会面としていたことの名残。

0805……………………トンボ
「飛ぶ棒」が「とんぼう」になり、さらに訛って「トンボ」になった。

0806……………………キュウリ
昔は熟れて黄色くなってから食べていたので、黄色い瓜だから、きうり、そしてきゅうりとなった。漢字の「胡瓜」の「胡」は、シルクロードを渡って来たことを意味する。胡麻、胡椒の「胡」も同じ。

0807……………………シュークリーム
シュー(chou)は、フランス語でキャベツの意。たしかに形は似ている。

0808……………………ちり鍋
熱湯にくぐらすと「ちりちり」と縮むことから、こう呼ばれるようになったという。「てっちり」の「てつ」は「鉄」で、フグのこと。フグ→当たると死ぬ→鉄砲というのが由来。

0809……………………もしもし
「申します、申します」が縮まったといわれている。

0810……………………紅一点
宋代の詩人、王安石の「万緑叢中紅一点」から出た言葉。「万緑叢中紅一点」は、緑の草原に赤いザクロの花が一輪だけ咲いている風景をうたっている。

0811……………………「勝手にシンドバッド」
沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」をくっつけた。

▼誤解を招いている言葉

0812……………………プラトニック・ラブ
「魂を愛さないで肉体ばかりを愛するのはよくない」というプラトンの言葉から生まれた言葉。「純愛」の意味で使われているが、プラトンがこう言ったのは男女の恋愛ではなく、同性愛。

0813……………………ホームページ
日本ではウェブサイト全体のことを「ホームページ」と言うことがあるが、本来、「ホームページ」は、ウェブサイトの最初のページを指す言葉。つまり、「ホームに戻る」「ホームに帰る」というボタンをクリックして開くページのこと。

0814……………………フリーマーケット
「自由(free)に参加できるマーケット」「タダ(free)でものが手に入るマーケット」と勘違いしている人が多いが、本当のスペルは「flea market」で、「蚤(のみ)の市」のこと。

0815……………………辛党
本来は、「酒好き」「酒飲み」の意味で、唐辛子やタバスコをたくさんかけて食べるのが好き、という意味ではない。

0816……………………○○命
愛する人の名前を「○○命」と腕に彫る風習は、江戸時代の遊女がはじめたもの。この「命」は「須佐之男命」(スサノオノミコト)のミコトと同じで「様」という意味で、「あなたは私の命です」「命をかけて愛します」というような意味ではない。

0817……………………他力本願
他人の力に頼ること、他人まかせにすることの意味で使われているが、本来は、ひたすら念仏を唱えて成仏することで、けっして悪い意味ではない。

0818……………………語るに落ちる
「語るに値しない」という意味で使っている人が多いが、「語るに落ちる」は「問うに落ちず語るに落ちる」の略で、「問いつめても人はなかなか口を割らないが、何気ない会話の中でうっかり本音をもらすことがある」という意味。

0819……………………元旦
「元旦」で一月一日を指すので、一月元旦とはいわない。

0820……………………くの一
女忍者を指す言葉だが、この言葉ができたのは昭和になってから。考案したのは、山田風太郎。

下記は2014年に出した電子版。
電子版にするに当たってタイトルは変えたが、中身は同じである。


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