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【どれを学ぶ?】イタリア語、スペイン語、フランス語

今回は、フランス語、イタリア語、スペイン語のうち、どれが学びやすいかについて、独断に基づいて書いていこうと思います。

いずれもラテン語から派生したロマンス諸語(romantic languages)に属していますが、同じくロマンス諸語に属するルーマニア語やポルトガル語等との比較は省きます。時間をかけて学んだことがないためです・・・。

「学びやすさ」というのはとても恣意的で、人によっても異なると思います。ここでは僕個人が学んでみた感想を書かせていただきます。

この上で、3言語を僕が学びやすい順に並べてみますと、

①スペイン語
②フランス語
③イタリア語

の順番になります。

以下に理由を書かせていただきます。

1.スペイン語が一番学びやすいと思う理由

まずは、「発音が比較的簡単であること」。

よく言われますが、日本語と母音が非常に似ているので、日本人に発音がしやすいです。

個人的に、子音よりも母音の発音の方が難しいと感じるので、この点は大きなアドバンテージです。

もちろん、「u」の発音が微妙に日本語と違ったりしますし、子音についても日本語にない発音もありますが、それはどちらかと言うと少数派です。

話したことが通じるというのは、モチベーションアップにも繋がります。

次に、「文法項目が比較的明快である」ということ。

これも曖昧な基準ですが、

例えば男女の性の区別。語尾が-oなら男性名詞、-aなら女性名詞、という規則が多くの場合適用されるほか、それぞれの性に特有の語尾というのも明確で、初めて見た名詞の性が予想しやすいです。

もちろん例外はありますが、そこまで多くはありません。

次に、現在完了形が比較的簡単

ロマンス諸語の現在完了形(仏:複合過去、伊:近過去)は、英語で言う「be+過去分詞」で作るものと「have+過去分詞」で作るものとに動詞が分かれて、いちいち覚える必要があることが多いです。

しかし、スペイン語の場合は、英語と同じように、現在完了形は基本的に「have+過去分詞」だけで作られるので、覚える負担が少し減ります。

難点は、日常で使われる時制が比較的多いこと。

時制の数自体は恐らくこの3言語で殆ど違いはないのですが、フランス語では書き言葉でしか使わない時制が多い一方、スペイン語ではそれらの時制も口語で使われたりします。

現在完了形は他の2言語(特にフランス語)では普通の過去形として使われることが多いですが、スペイン語の場合は「過去形と呼ばれている形(点過去、線過去等)」と「現在完了形」で使われる領域の住みわけがなされています。

つまり、覚えていないといけないことが多いということです。ここはスペイン語学習における難点の一つです。

しかし、総じて学びやすい言語であると思います。

2.フランス語の学びやすさ

フランス語の学びやすさは、「学ぶ環境が整っていること」です。

その言語が難しいか簡単か以前に重要なのは、その言語を学べる十分な環境(教材、教師、辞書)が揃っているか、という点です。

フランス語は世界で二番目に学習人口が多い言語です。そのため、語学学校や教材が世界レベルで充実しています。

日本でも、書店の語学書コーナーに目を向けてみると、フランス語に関しては様々なレベルの書籍が並んでいます。

最近でこそスペイン語やイタリア語の書籍も増えてきていますが、第二外国語としての伝統も古いフランス語の方がこれら2言語よりも学習環境が整っていると言えます。

次に挙げられるのが、「意外と省略の多い文法」です。

フランス語は書き取りが難しい言語ですが、それは同じ発音をするのに違うスペルで書く活用形や単語が多いからです。

しかし、裏を返せば、声に出して覚える分には、覚えないといけない活用形の数は見た目よりも少ないということです。

「parlerの直説法現在形の活用を1人ずつ声に出して発表してください」と先生から言われても、「パルル」と言えば3分の2の確率で当たります。他の2言語に比べて、口頭だと活用形の練習の意味がないんですよね。

これが、語尾まではっきり発音するスペイン語やイタリア語との大きな違いです。

また、「英語とスペルが似ていること」も学びやすさの理由の一つです。

スペイン語とイタリア語はそれぞれ日本人に発音しやすい形に単語がなっていますが、見た目から受ける印象が異なる場合が多いです。「atti」(伊)と「acts」(英)の見た目は違いますし、「llevar」(西)と「arrive」(英)も違います。その点、仏語は「acte」や「arriver」のように、何となく知っている英単語と似ている、ということが少なくなく、とっつきやすさがあります。(もちろん、それが罠になることもあるのですが。)

一方、フランス語の難しさは、やはり「発音」

更に、上記の通り、「読まれたとおりに書かない」というのも難点となっています。目で見た時の印象と音で聴いたときの印象が必ずしも一致しません。

フランス語をテキストなしに聴くというのは、日本語を漢字のない状態で読んでいるようなものでしょうか。頭の中で音をいちいちスペルに変換する癖がついてしまうと、速い速度の音声にはなかなか追いつけません。

それでも学習環境が整っているので、苦手を克服するチャンスは大きいです。

3.イタリア語の難しさ

最後にイタリア語ですが、この3つの言語の中では僕はイタリア語が一番難しいと思います。

まず、長所としては、発音がしやすいこと。これはスペイン語と同様です。

ただし、日本語よりも母音の数が多く、微妙な違いを区別しないといけないところもあり、スペイン語ほど単純、とも言えません。

それでもフランス語の発音に比べたらずっと学びやすく、通じやすいと思います。イタリア語のイントネーションを身に着けるのは大変そうですが。

また、「話すスピードが比較的遅い」のも長所です。

フランス人とスペイン人は話すのが速い。その一方、イタリア人は、あの特有の歌うようなイントネーションが理由なのでしょうか、比較的聞き取りやすいスピードで話すように思います。

3言語でどれが一番早くリスニング能力が上達するのか、実験してみたい気持ちもあります。

それより難しいのは、文法です。

イタリア語の文法は、スペイン語とフランス語の面倒なところを足し合わせた感じがします。

まず、スペイン語と同じように、時制が非常に多いこと

フランス語では文語でしか使われない時制がイタリア語では未だに現役です。ここはスペイン語と共通しています。

しかも、どの過去形を使うかが地域によって違います。イタリア北部では現在完了形(近過去)が優勢ですが、イタリア南部では遠過去(西:点過去)が使われています。

フランス語のように、話すためだけなら取りあえず現在完了形(複合過去)だけ覚えれば良い、というわけにはいかないのです。

そして、フランス語と同じように部分冠詞が存在していること。また、冠詞の数自体も他の2言語よりもずっと多いこと。

動詞について言えば、完了形を作るのに「be型」と「have型」という動詞の区別があること

更に、完了形の際に使われる過去分詞の語尾問題。スペイン語は「変化しない」、フランス語は殆どの場合「変化するけど発音しない」、なのですが、イタリア語については、「変化するし発音もする」のです。

そのため、いい加減に文法を覚えてると後々足を引っ張られます。地味に厄介な点です。

発音しやすいという強力なアドバンテージを備えているのですから、これくらいの文法の複雑さは良いのかもしれませんが、イタリア語の学びにくさはこういうところにあるのではないかと思います。

★★★

ちなみに、僕はイタリア語がこの3言語で一番好きで、複雑な文法と美しい音を兼ね備えたこの言語にハマっていたのですが、結局「汎用性の低さ」という別の理由で諦めてしまい、フランス語に乗り換えてしまいました。

ダラダラと長く書いてしまいましたが、上記はあくまで僕の個人的な印象で、人によって考えが異なることにご留意いただければと思います。

少しでも参考になれば幸いです。





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