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日本の陸上競技を盛り上げるために必要なことってなんだろう

 今回はトレーニングや大学のことを離れ、最近感じている陸上競技の普及について書きます。
 陸上競技は、日本選手権レベルの大会でも競技場が満員に埋まることはなく、箱根駅伝を除けば決して人気があるとは言えません。陸上界に関わる人たちや外部の人たちも含めてアイデアを出し合い、実行していくことで、この状況を変えていかなければ発展はないと考えています。

 為末大さんは東京都心の路上でストリート陸上を開催し、注目を集めました。短距離やハードル、棒高跳など日本のトップアスリートのパフォーマンスを、同じ目線の高さで見られるのもので、きっと競技を知らない人でもその迫力に引き込まれたことでしょう。最近では800m元日本記録保持者のTWOLAPS TCの横田真人コーチが中心となって、日本では初の試みとなる中距離種目のレースで賞金を出すイベントを開催し注目を集めました。

 このような取り組みが魅力的に感じる理由は一度に多くの種目を行うのではなく、開催種目を限定的にした点にもあると考えています。陸上競技はもともと多くの種目で構成されるものですが、多種目を一同に行うと見る人の関心が分散してしまうこともあります。集中的に行えば、注目が分散されず、その種目がフォーカスされて盛り上がる仕組みになるのではないでしょうか。箱根駅伝やMGCはまさに種目を限定的に行っているイベントと言えます。

 こうした従来の手法を変えた取り組みを日本陸上界として継続的に行っていけば、競技への理解も進みますし、多くの方が選手を知り競技の普及に繋がります。私も協力したいと思いますし、ぜひ増えていって欲しいものです。

 通常の大会での取り組みも変えていける点があるのではないでしょうか?例えば大きな大会ではエントリー選手の情報をSNSなどでもっと早く告知すれば、事前にどんなレースになるのかなどファンの間で期待感が高まり、競技場に誘い合って行きやすくもなるでしょう。競技者からしても大会へ向けてモチベーションが高まることは間違いありません。現状では直前に発表されるため誰が出るのか情報がなく、なかなか盛り上がる雰囲気ができにくいことは事実です。ファンは大会に集まりますが、応援したい選手がいるからこそ会場へ足を運ぶものです。

 選手の情報も積極的に発信して欲しいと思います。今は競技場のオーロラビジョンに選手の名前と所属チームしか表示されません。対照的にプロ野球では打席にバッターが立つと、顔写真や打率など多くの情報が表示され、その選手を知ることができます。陸上競技では多くの選手が同時に走るため、そこまでするのは難しくとも、SNSを活用して選手の顔や経歴、戦績などを表示すれば、初めて観る人でも応援しやすくなるのではないかと日頃から感じています。箱根駅伝の人気は、大学はもちろん、出身高校や出身地がテレビ中継で表示され、応援したくなる情報があるからというのも大きな理由でしょう。まさに甲子園と同じ仕組みです。故郷、出身校が同じの選手など、応援する人は共通点があると親近感が湧き、関心が高まるものです。

 最近では、バスケットボール、ラグビー、卓球などは様々な改革によって人気と競技レベルが格段に上がりました。フェンシングでは、日本選手権を体育館ではなく劇場での開催に変更しました。MCやダンサーを起用し、映像装置やLED照明による演出も行うなど、エンターテイメント化を進めて注目を集めました。こうした取り組みによりファンを呼び込み、パートナ―やスポンサーを呼び込むことにより資金を得て更なる魅力的なイベントが催されます。選手らが得られる報酬も現状より高まり好循環が出来上がります。今の陸上界はこのようなロールモデルを取り入れる必要性に迫られているのではないでしょうか。
 もちろんスーパースターが現れることも必要ですし、シューズなどの進化が進み、大幅な記録短縮が起きることも重要な要素です。様々な側面から人気を押し上げていく必要があることは言うまでもありません。

 パリオリンピックの開会式はセーヌ川で行われ、選手たちが船に乗って入場行進する計画があるとの報道がありました。さすがフランス!と思うのと同時に、オリンピックにおいては、陸上競技がメイン競技、花形競技と思っている人が多いと思いますが、このように開会式が陸上競技場で行われなくなってしまうと、オリンピックはもちろんスポーツ界でのステイタスが下がっていく気がしてなりません。

 近年はアマチュアスポーツとプロスポーツの垣根がどんどんなくなっていると思いますし、マイナースポーツいわれる競技が様々な努力を積み重ね、ファンを増やしています。陸上界としても危機感を持って施策を行い、人気拡大につなげて欲しいですね。
 そもそもスポーツの語源は「気晴らし」「楽しみ」「遊び」です。本質を忘れずに私も普及のために情報発信を積極的に行っていきたいと考えています。

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