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気持ち良い服①|何のために、誰のために

「男のためにそんな服着てるとしか思えないんだけど」
夫にそう言われた。私の服装について喧嘩になった日の出来事である。

私は時々、男の人をドキッとさせる服を着ることがあるようだ。胸元が大きく開いてるとか、スカートがすごく短いとかもあれば、全身を布で覆ってはいるけどボディラインが出ているとか、お腹がチラ見えするとか、透けているとかもある。

その日はどんな服装をしていたのか忘れてしまったけど、帰宅して、お風呂上がりに夫と何気なく会話していると、何かがきっかけで喧嘩が勃発した。その中で私の服装の話題になり、上記のことを言われた。
(喧嘩の内容自体を覚えていないので、わりとどうでも良い内容だったかもしれない)

もちろん、私だって男の人をドキッとさせてしまう服装に鈍感というわけではない。あーこれ、露出多めだなとか、そんなことは自覚してる。それでもそんな服装をするのは、「好きだから仕方ないじゃん」としか言えないのだ。もちろん夫にもそう返した。

男に媚を売るために服を選ぶのは、だいぶ昔にやめた。若かりし頃はデートのためにおしゃれをするとか、大好きな彼氏のためにちょっとエロみのある服を着るとかしていた時期はある。

でもアラサーの今は、何のためにおしゃれをするのだろうか?

それは紛れもなく「自分が気持ち良いから」である。
ライターの仕事をしていて、伝えたいことをうまく言葉にできたときは、とても気持ち良い。画面半分以上のぷよぷよをまとめて消せたときは気持ち良い。勉強でわからなかったところが理解できたときは気持ち良い。値札のシールをキレイに剥がせたときは気持ち良い。それらと同じ感情なのだ。

自分の個性と一致するコーディネートが組めて、さらに自分に似合っていたときは、とても気持ちが良いものだ。自分の精神と身体がつながっているようなハイな感覚。

逆に、私は家でゆるゆるの伸び切ったTシャツにジャージといった服で過ごすことも多いけど、そんな日は大体1日中やる気が出ない。
ところがどっこい、おしゃれとメイクをするだけで自然と背筋が伸びて、やる気がみなぎってくる。どこにも行く用事はないけれど、何となく街に飛び出したくなる。自信がついて堂々と歩けるようになる。

私にとっておしゃれをするということは、自分自身をエンパワメントする行為。普段から、SNSや終わらなかったタスク、他人の何気ないひとことなんかで自己肯定感が削がれてるのだから、こういうときに自己肯定感を爆上げしないでどうする。
要は、男のためでも、他人のためでもなく、「自分のため」に好きな服を着る。

私には子供がいて、これから数年、数十年と年齢を重ねていく。同時に、パーソナリティも成熟していくのだと思う。そのとき、今とまったく同じ服装を好むかどうかは定かでない。

今着ている服が何となくしっくり来ないだとか、自分自身がどこかに置いてけぼりになる感覚があったときは、服装を見直すサインかもしれない。そう思いながら、今はただ、自分が「気持ち良い」と感じる服を選んでいくのだ。


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