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『井上成美』を読みました。


東郷平八郎や山本五十六のような著名な戦功をあげた人物ではないにも関わらず、30年以上も読み継がれています。その理由を知りたかったのですが、確かに今の世にも通じる内容が多いのだなと感じました。

本を読み進めていくと、井上成美という人物像について、以下の点が浮かんできます。
・希望的観測を嫌って事実を重視し、合理性を重んじる人だった。
・冷静な観察眼や大局観を持っていた。
・組織に対しても迎合しなかった。
・故に、周りから疎まれていった。

真の理解者は米内光政など限られた人のみだったようですが、少数でも深い理解者とともに仕事ができることは幸せなのかもしれない、とも思ったりします。周りから見ると少し偏屈な人物だったようですが、自らの任務と職責に対する態度、および、自らのスタッフへの接し方は見習いたいところが多いです。

また、本書は「組織力学」「教育論」に関する示唆も多く含んでいます。700ページを超えますが、一人の軍人の伝記といったカテゴリーを超えて、多くの人に読んでほしい一冊です。


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