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柿本人麻呂の作品は?

─── 目 次 ───
☆作品
☆意味
☆言葉のリズム
☆「山鳥」の特徴・習性
☆掛詞・枕詞・歌枕
☆文法解説
☆鑑賞
☆出典
★関連動画
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☆作品

♪ あしびきの
   山鳥の尾の
   しだり尾の
   ながながし夜を
   ひとりかも寝む

です。

読み方は、

♪ あしびきの
  やまどりのおの
   しだりおの
   ながながしよを
   ひとりかもね

太字1箇所が、旧仮名遣いです。
口を閉じて「む」と発音します。
「新橋」の「ん」と同じです。
関連記事として、



この作品は、柿本人麻呂の作品ではないとする異論もあるそうです。

♪ あしびきの
   山鳥の尾の
   しだり尾の
   ながながし夜を
   ひとりかも寝む


☆言葉のリズム

あしびき
山鳥の尾
しだり尾

「の~」が続くことによって、詠う時に心地良さを感じます。


☆「山鳥」の特徴・習性

キジ科の鳥。
雄は、長く垂れ下がった尾。
(3句:「しだり尾」)
昼は雌雄一緒。
夜は谷を隔てて寝る。

下記記事が面白いです。
・驚愕! 雄とメスの体長差
・鳴き声が聴けます


☆意味

あしびきの
   (「山」にかかる枕詞)
山鳥の尾の
   (夜は雄と雌が
    離れて寝ると言う
       山鳥の尾の)
しだり尾の
   (長く垂れ下がった
       尾のように)
ながながし夜を (長い夜を)
ひとりかも寝む
   (ひとりで寝ることに
     なるのだろうか?)


☆掛詞・枕詞・序詞

1句:「あしびきの」
   「山鳥」の
   「山」にかかる枕詞
   詳しくは、
   下記記事(2) 

上の句全体が、
4句「ながながし」を
引き出す序詞(有心の序)



☆文法解説

2句:「やまどり(山鳥)」
   キジ科の鳥。昼は雌雄一緒。夜は谷を隔てて寝る
3句:「しだり尾」長く垂れ下がった尾
5句:下記の記事参照



☆鑑賞

柿本人麻呂には、密かに思いを寄せる人がありました。
しかしその人は帝(みかど)に仕える人でしたので、
愛していることが知れたら重い罪に問われてしまいます。
柿本人麻呂はそのことを悲しんで、この歌を作ったそうです。
恋しい人から離れて、
夜長のひとり寝を過ごさねばならぬつらさを詠んだ歌です。

この歌を本歌として、藤原良経が本歌取りしています。
091 後京極摂政前太政大臣


☆出典

万葉集2802異伝歌・作者不詳とありました。
※万葉集では、
 あしきの
 と、清音。
 百人一首では
 あしきの
 と、濁音





★関連動画




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