DEI評価コンサル|インパクト投資奮闘記@コンサルvol3
ご無沙汰しています。インパクト投資分野へのキャリアシフトのためプログラムに参加している者です。
今回はインパクト投資ど真ん中ではないものの、インパクト投資の文脈でも多く語られているDEI評価コンサルのプロジェクトを先日終えたのでそれについてまた独り言を共有させていただこうと思っております。
DEI評価プロジェクト
今の新しい職場はインパクト評価やインパクト投資に関するコンサルティングをする企業なのだけれど、特にDiversity, Equity and Inclusionに関する評価にも強みを持っている。
先日はイギリスの大手チャリティーのスタッフネットワークを評価するプロジェクトに入った。具体的にはLGBTQ+ネットワークなど、従業員が現状ボランティア的に活動している社内の取り組みについて、インタビューやアンケートを通じてこれらの取り組みの現場を理解して、マーケットプラクティスや今後のアクションプランなどを提案するというもの。
私にとってのハイライトはDEIについての理解が深まったこと(後述)。
初めてのコンサルプロジェクトを無事に終え、大きな感想は2点。
1. インタビューやアンケートで色んな人意見聞くの興味深い。現場の声を聞かせてもらえるなんて貴重!ただ差別された経験や怒りの感情に耳を傾けるのはエネルギーが要る。(このnoteでも繰り返し私が述べている感想な気がする。社会的に弱い立場にいる人の話を聞くことが仕事の一部)
2.とにかくたくさん読んで咀嚼してレポートを書く。こういう戦略ではないコンサルって金融にいたときとは全然違うスキルが必要だなと(当たり前)。私は昔から概念的なことを理解するよりはケース等具体的な内容を読むことが好きで得意なので、この仕事ではとにかく多くの概念的な白書・メソドロジーを読む必要があって苦戦した。良いインプットになったしだいぶ理解も深まったが。私のコンサルタントとしての技量、伸びしろだらけ。笑
DEIって苦手。。
私、正直DEIについてはあまり自分事として考えられていなくて。あんまり触れたくない苦手トピックみたいな感じだった。それが、このプロジェクトを通じて「ん、なんとなくわかってきたぞ」という感覚になった話。
まずこれまでの私の認識は「とりあえずみんなで仲良く認め合って頑張っていこうよってことだよね。(それ以上はあんまりよくわからん、自分から能動的に活動するほどの熱量は持てていないけど共感の声上げます)」という感じ。
なんで最近苦手に感じていたかというと…英国に住んでいると私は有色人種、最近移住してきた外国人ということで圧倒的にマイノリティなんだけど、マイノリティであるからこそ苦労した記憶もあまりない(この点が気に入ってロンドンに住んでいる)のに、私は周囲の人からTHEマイノリティと認識さえれていることに、なんとなく違和感があって(流行りの言葉でいうとIntersectionality…深く触れません)。具体的に自分が困った例を考えようとするたびにイメージがつかないことが多いのに、私はマイノリティだからより理解があるだろうと周囲からの期待を感じたりして。
特に人種に関しては、英国で生まれ育った黒人(Black Communityの直訳としてこの言葉を使わせてもらう)は人生のあらゆる場面でInequity(不公平な状況)を経験してきているのに、英国のDEIの文脈でよく使われるPeople of colour(有色人種)という言葉は、彼らも、私のような恵まれた日本人も表していて。英国のバングラデシュ系のコミュニティはとても苦労しているというデータがあるのに、彼らも私も統計上は「アジア系」。
正直「恵まれている私なのに苦労している黒人の方々、バングラ系コミュニティの方々、同じに括られてごめんなさい!私がアジア人として(不公平を経験している人だと)見られることは遠慮したいし、意見聞きたいみたいに言われてもマジ無理!!」と感じてしまう。
DEIちょっと身近に感じてきたぞ
話を戻して、なぜDEIを比較的身近に感じられたかというと…そのレビューの中で従業員ネットワークの方にインタビューしたりするんだけど、その中で「自分みたいな(見た目や文化的背景を持った人)が職場に増えてほしい」という声を聴いて。
あぁ、これなら私もわかるぞ、と。
白人英語ネイティブの中に私一人で飛び込むのは、「おぉ」と一瞬はたじろぐ気持ちがある。会話のスピードについていけるか、昔のTVの話されたらどうしよう、など。
もし私が男性で、自分以外のイベント参加者が全員女性だったら、「おおぉ(自分みたいな人、来てくれたら心強いな~)」と感じると思う。
仮に自分みたいな参加者が来てくれなくても、男性も参加しやすいように調整してあったら少し気持ちが楽、みたいな。
例えば、ヨガ教室の内装ピンク色(女性向けを連想しがち)だったものが緑色に変更になったり、(男性は女性より体が硬い人が多くて大変なポーズがあるとして)このポーズがつらかったらこれに代替してもいいですよ~と先生が言ってくれたら参加しやすい。
こんな感じで、DEIってその場にいる(色んな)人がより心地いい空間を作れるように工夫する取り組みなのだなぁ、自分にもなんとなくイメージがつく状況はあるなぁ、と理解してからいい意味で肩の荷が下りたかも。
…伝わってます?笑 ふわっとしすぎたというか、私が英国に来てからギャップに苦しんで頭がこんがらがっていただけかも。
やはりこのトピックを考えるたびに、自分はこれまでいかにマジョリティとして暮らしてきたかを実感させられる。
例えば新卒でお世話になった日系の銀行には外国籍の同期もいたけど、入社を決めた時点で日本の体育会っぽい文化に溶け込んでいることは大前提みたいな感覚があった。みんなめちゃくちゃ溶け込んでいたし、多様な人材として扱われることを求めていたかは個人によると思うけれど。彼らを含めた従業員にマイクロアグレッションの経験についてヒアリングをするみたいな観点は聞いたことがなかったかも。(日本の大企業でそんなヒアリングしたらどうなるのか、興味はある…)
このあたりで定義を引用しつつ、私なりの勝手な例を挙げておきます。
ダイバーシティ/多様性(Diversity)
ダイバーシティとは、年齢、性別、民族、宗教、疾病、性自認、性的指向、教育、国籍等の違いを尊重することです。
例:みんなちがってみんないい。あなたはあなた
エクイティ/公平性(Equity)
公平性とは、情報、機会、リソースへのアクセスを、すべての人に公平な扱いを保証しようとするものです。
例:無人島バトルで各チーム持ち込めるアイテムは10個だけど、足が悪い人がいるチームは別途車いすを持参していい
インクルージョン/包括性(Inclusion)
インクルージョンとは、帰属意識のことです。どのような個人や集団であっても、歓迎され、尊重され、支援され、評価され、参加できるような環境を作ることです。
例:ロシア出身とウクライナ出身の選手がいるスポーツチームで、どちらの人も選手としてそれぞれが力を発揮できるような状況を作る
マイクロアグレッション
DEIに関してマイクロアグレッションという概念があって、おすすめのビデオがあるので貼っておきます。英語だけどアニメーションなので言語が苦手でもわかるかと。
前述のとおり弊社はDEIに特化したコンサルに強く、社長はこの分野に情熱をもって別の会社を立ち上げたりした人なので…初心者感想なのはあくまで私の部分であり、会社としてはちゃんとしていることを付け加えたいと思います。笑
まったく新しい分野のことをやるってエネルギーを消費する。特に周囲がその分野に熱意を持っていて、自分は知識としては知りたいが情熱は…みたいな感じだと、私だけ置いて行かれた感情になったりして。
最近のこと
全然最近noteをかけていないけど、たまにはいいなぁと。
投資案件をやったりすべてが目新しかった前のインパクト投資ファンドに比べると、その目新しさが落ち着いてきて家族の時間を優先したくなったり、クライアントワークが増えて自由に発言できる範囲を見極めるのに時間がかかったり。
黒人マイノリティコミュニティでのインパクト投資推進ワークを最近特に力を入れてやっていて、より面白くなってきたのでどこかで書けたらいいな。
インキュベータープログラムの設計をしていてこれから選考等があるので、(関係者に日本語話者はいないけれど)選考が終わったころにでも。
日本の様子も気になっているので、バーチャルチャット等していただける方がいらしたら連絡いただけると嬉しいです…!
ではこのあたりで。
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