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函館市縄文文化交流センター5つの物語

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北の漁業のまち南茅部にある函館市縄文文化交流センタ-。その展示品にまつわる5つの物語です。
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#アスファルト

函館市縄文文化交流センター

函館市縄文文化交流センター

この建物の外壁は曲線で構成されている。いくつもの中心点から描かれた複数の円を組み合わせることによってデザインされた外観は、時の流れのように緩やかに波を打っている。だが、近づいてよくこの壁を見ていただきたい。一見すると曲線に見える外壁は、幅9センチほどの直線の連続によって造形されていることが分かる。これは、地元で伐採した杉の間伐材を製材して組み上げた型枠にコンクリートを流し込んで建築したものだからで

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3.アスファルト塊(豊崎N遺跡・磨光B遺跡・豊崎B遺跡出土)

3.アスファルト塊(豊崎N遺跡・磨光B遺跡・豊崎B遺跡出土)

これは一体何だろう。。1993年の秋、私は調査事務所の中で豊崎N遺跡出土の小型の深鉢を手に取って眺めていた。口縁部を打ち欠いた土器の中には黒褐色の塊が充填されており、土器の口を越えて盛り上がっている。表面の状況は漆の樹液が乾燥したようにも見える。
作業員たちも集まってきて、頭をひねりながら一緒に考えていた。その時、私の手の中で土器がポロッと大きく割れた。「あー、先生が壊した」と一斉に非難の声。ちょ

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