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大手企業とのパートナーシップで新しいデジタル医療の世界を創る

今回のインタビューでは、人事チームのニシダが、DTx事業部 部長の佐々木さんにお話をうかがいます。

大手企業からベンチャーに転職し、ジョリーグッドでは事業部長を務める佐々木さん。現在は大手企業とのデジタルヘルスに関する共同事業プロジェクトを管理する立場です。その面白さと難しさについて語っていただきました。その中で、ジョリーグッドだからこそ気づいた自分の力、それによって起きた自身の変化と成長についても触れています。

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佐々木 理人(ささき まさと)
  
東北大学大学院工学研究科卒業後、医療機器メーカーに入社。医療機器の研究開発に7年間携わる。
その後、VRベンチャー企業での開発プロマネ経験を経て、2022年ジョリーグッドに入社。DTx(デジタル治療)を含むデジタルヘルスケアVRのビジネスモデル設計と、システム要件定義の両方を兼任。2023年6月にDTx事業部部長に就任し、デジタルヘルス事業全体の活動のマネジメント・統括を行っている。
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ーまずは、これまでのキャリアについてお伺いしたいです。

新卒で入社した大手医療機器メーカーでは、医療機器の要素技術研究やシステム開発に携わり、医療機器特有の研究開発ノウハウの基礎を身に付けました。7年勤め、2社目のVRベンチャーを経て、現在のジョリーグッドが3社目です。

ー最初は、大手から別のVRベンチャーへの転職だったのですね。経緯はどのようなものだったのでしょうか。

元々私は、大学生の時の東日本大震災の被災をきっかけに、医療テクノロジーの仕事に興味を持っていました。具体的には、自然災害だけでなく経済衰退、パンデミックなど昨今の予測困難な社会情勢の中で、世の中の人たちが「自分にとってのあらゆる障壁を克服して、自分自身の力で逞しく生き抜いていくことを支援するようなテクノロジー」を創ってみたいと考えてきました。エンパワー、と言ったりしますね。

1社目では医療機器開発の仕事を通して研究・開発について多くのことを学びました。ですが、当時社内で扱っていた製品は延命措置的に使われる機器が多かったんですよね。
次のステージとしてエンパワーメントに寄与する製品開発にもチャレンジしてみたいと考え、当時すごい勢いで伸びはじめていたVR市場に興味を持ちました。

私自身も遊び程度の体験ながらVRに衝撃を受けた鮮明な記憶があり、世間でも産業利用の事例がどんどん登場していた時です。新しい製品開発のいい切り口になるのではという予感を感じていました。

それがきっかけで安全教育VRを扱うベンチャーに転職し、VR開発のプロジェクトマネージャーを経験しました。

ー安全教育は、防災訓練などのことですよね。実際VRに携わってみて、いかがでしたか。

実はVRに対して当時はまだ自分の中で「ほんとに人の行動まで変えちゃう効果あるの?」と、どこか懐疑的な気持ちがあったんです。ところが、実際に自分たちが手がけたVR製品を導入した企業様から「社員の安全意識も行動も大きく変わって、年間の事故数がこんなに減った」というサクセス事例の報告をたくさんいただきました。
VRは人のエンパワーメントを叶えてくれるベストツールだと、強く実感したんですよね。

しかしやってみて分かったことですが、安全教育の市場はかなりニッチです。せっかくVRというエンパワーメントツールがあっても、それで救える人が限られてしまっては非常にもったいないというのも同時に感じました。

もっと多くの人の生きる力に役立てられる会社が無いかリサーチした結果、ジョリーグッドを知りました。加えて、ジョリーグッドは「テクノロジーは、それを必要とする人に使われて、初めて価値がある」という企業理念を掲げており、当時の自分にはその言葉が強く刺さりました。

ここでなら、より多くの人のエンパワーメントに貢献するために、VRをベストな形で役立てられると確信しました。同時に、1社目の医療機器メーカーでの経験も活かせると思い、入社を決意しました。

ここならビジネスづくりに挑戦できる!採用面接での直感


ー現在のポジションについて教えてください。

DTx事業部という、VRを使ったデジタルヘルスケア(デジタル技術を活用したヘルスケア)の事業開発を行う部署で、部長として事業全体の活動をマネジメント・統括をしています。同時に、プロダクトマネージャーとしてシステム開発の要件定義を担当し、事業部と開発部との間のコミュニケーションハブ的な役割も兼務しています。

前職までは、ビジネス自体の座組が固まっている上で、プロダクトの設計・開発に主眼を置くことの多いポジションで、プロダクト実現のためのHow(どのように作るか)を考えることが業務の中心でした。今は、ビジネスモデルそのものから組み立てて実行する立場です。さらに上流のWhatやWhy(なにをなぜ作るか)から自分の裁量で突き詰めて設計できる。これまでと違う楽しさがありますね。

ー部長職としてのビジネス設計と、プロダクトの要件定義、視座の違った2つのポジションを両立しているのですね。

はい。もともと私は、10年に1回自分のキャリアを大きくアップデートしたいと考えていて、開発キャリアのネクストステップとして、ビジネスモデルの設計やマネジメントに興味を持っていたんです。

とはいえ、いままで積み上げてきたスキルをフルリセットしてイチからスタートするのは正直かなり不安でしたし、キャリア形成の効率が悪いなと感じていました。
そこで、業務ミッションの3~4割は経験領域に軸足を置きつつ、残りはチャレンジ領域であるビジネスモデル設計に注力するような配分でスタートできないか、と選考面接時に相談したところ、今のハイブリッドポジションの提案をいただいたんです。

ー貢献とチャレンジのバランスが取れてて素晴らしいですね。ジョリーグッドの、挑戦に前向きな風土にもマッチすると感じました。

そうですね、ジョリーグッドのチャレンジ精神は私も選考時から感じていました。
他社選考と比較しても、明らかに社員の雰囲気や顔つき、ものの考え方が輝いて見えたんです。挑戦や成長に対してポジティブな会社なんだろうなということを直感的に感じました。

通常、中途採用となると企業側としても応募者には即戦力になるようなパフォーマンスをいちばんに期待されます。面接時もそのような質疑応答に終始することが多いのですが、ジョリーグッドは「新しい医療を作るチャレンジに前向きでワクワクする気持ちを持っている人、自分自身の成長志向に貪欲な人と一緒に働きたいんです」とどこよりも強く伝えてくれて。

自分もそこに共感を感じて、是非この人たちと一緒に自分の新しいキャリアを再スタートしたいと感じました。個人的に、転職先を選ぶ際にはスキルマッチだけでなくバリューマッチの部分も重要だと思っているので、それを強く体感したエピソードです。

他のメンバーも、ジョリーグッドに入社する前まではまったく違う業界・職種で働いていた人たちが多くいます。この会社で新しい仕事に挑戦して、どんどん自分のスキルセットをブラッシュアップして急成長していく事例をたくさん間近で見ている。チャレンジすることが当たり前な風土なんです。刺激的ですよね。

まだ見ぬ医療の世界を自分たちの手で作り上げる


ーどのようなポイントがお仕事のやりがいでしょうか?

時々、プロジェクトメンバーとも話すのですが、例えばいまの医療現場にはこんな困り事があるけど、それを解決するために、VRが当たり前に治療の選択肢として医療現場のスタンダードになっているような世界を自分たちが創れたらそれってめちゃくちゃすごい事だよね、と。

「こういうのもあったらどうかな」「それすごく良いね、これはどう?」とあれこれ発想をぶつけ合って広げているときが一番やりがいを感じて楽しい瞬間です。

ー未開の地を拓いているのですね。

はい、国内外問わずVRを用いたデジタル治療(DTx)は、まだまだ新しい分野です。
同時に、昨今の医療業界は「医療4.0」とも比喩され、デジタルを用いた医療の形がこれからどんどんスタンダードになっていく機運が高まっている。医療AIやオンライン診療などと並んで、特に注目を集めている領域のひとつにDTxが挙げられます。

なのに、DTxが製品化された事例というのは、国内だと現時点でたった3製品しかないんですよね。つまり、社会的なニーズはあるけどもまだまだ開拓余地にあふれた、誰も実現したことのない新しい医療の形です。これをまさにいま、自分たちの手で作り上げているんです。

誰もやったことのないことに取り組んでいる。当然、それ相応に大変な側面も多々あるのですが、新しい世界を切り拓いているワクワク感は何事にも変え難いです。

大手企業とのパートナーシップで越える壁


ー注目の新分野だからこその苦労もありそうですよね。

そうですね。デジタルヘルス領域のプロダクト(アプリケーション)は、PCやスマホ、VRゴーグルのような汎用デバイスにインストールして用いられるという手軽さが特徴です。反面、使用目的によっては医療機器として薬機法の規制対象になります。

しかしながら、薬事や保険についての知見、市場での販売網に至るまでこれらすべてを、1社のテックカンパニーの中だけですべて担うのはとても難易度が高い話です。

ー開発だけではないところに壁があるのですね。

はい、このような事情に対処するために、一般的にはテックカンパニーと製薬・医療機器メーカーが協業体制をとるケースが多いです。ジョリーグッドもそのような考え方のもと、大塚製薬さんや帝人ファーマさんといった、大手企業様とパートナーシップを組んで分業体制を敷かせていただいております。

我々ジョリーグッドはテクノロジー開発のプロとして、VR制作のノウハウやスピード感を強みとしたプロダクト開発を担います。それを製品として市場に届けるプロセスは、薬事や保険の戦略、既存の販売網に強みを持つパートナー企業様にお任せさせていただいているという図式です。

ー役割分担をしているイメージですね。

同時に、この協業プロジェクトはお互いにとって挑戦です。
我々ジョリーグッドにとっては、数億円規模のデジタルヘルスVRの開発は初の挑戦領域になります。

一方で、パートナー企業様にとっては、いままで慣れ親しんできた薬や医療機器などの有体物の販売と違った、サービスやアプリなどの無形物の販売開始は初の試みです。
販売後も導入施設様のサービス利用状況に応じて、きめ細かいフォローアップが必要なのもデジタルヘルスならではの特徴なので、そこに我々の過去のサービス販売実績の知見が役立ちます。

ー得手不得手を補完し合いながら同じ世界を見据えている、と感じました。

そうですね、両社が互いの強み・弱みを理解し合えている関係のもと、この協業体制が成り立っています。「ここは御社の力を借りたい」と頼り合いながらプロジェクトを進めることができています。

先ほどお話しした通り、デジタルヘルス自体はまだまだ市場にとって新しい領域です。ユーザーの反応やリアルタイムの利用データを見ながら、両社で共に議論し悩み、作戦を立て改善をはかり、サービスを育てるというのが面白いですね。

人生のターニングポイント、人間的な成長を得た環境

ージョリーグッドに入社してご自身に起きた変化や成長について教えてください。

これまでの自分自身の人生を振り返ってみても、ジョリーグッドで働いているまさに今が人生のターニングポイントだと感じています。
入社してまだ1年しか経ってないですが、それを今の時点で感じられているのってすごいことだなと改めて思います。

ーそれはなぜでしょうか?

恥ずかしながら、私はこの会社に入るまで、自分の得意なことが分からなかったんです。

でも、この会社に入って「佐々木さんは仕組みや体制を1からきれいに構築したり、課題解決の方針をすぐに定めて、具体的な部分はあえてメンバーに自主的に考えさせるような仕事の振り方が上手いですよね」と周りから言われることが明らかに増えたんです。

私は研究開発出身なので、強いて言える強みは医療特有の法規制や開発の知識ぐらいなのかなと思っていたので、この評価はまったくの予想外。最初はピンと来ていませんでした。

でもこれまでの仕事を振り返ると、確かに脳内であれこれシミュレーションしながら物事の下地を整えたり、黒子的に組織を裏で支えコントロールするような働き方が、ストレスなく自分らしくいられました。実際、それが成果に繋がることが多かったなと気づいたんです。これを見つけてもらえたのが自分の中ですごく大きくて。

ーそれは業務の性質や立場が変わったことで気づくことができた強みなのでしょうか。

どちらかと言うと、ジョリーグッドがこれまで私がいた環境とはまったく違うから気づけたのだと思います。
本当に多種多様なバックグラウンドの人たちの集まりなので、それぞれの個性や違いが際立ちやすく、そこに周りが気づいて相手のすごいところを言語化したり尊敬し合う文化が自然にできていると思うんですよね。

自分の得意なことを認識できた。これは私の今後のキャリアにとって大きなアドバンテージになりました。

ー自身の得意が確立されると、キャリアに良い影響がありますよね。

そうですね。あと、価値観の面でも変化がありました。
これまではあまりチームメイトの仕事や日々の様子に興味関心を強く持つ方ではなく、自分の成長にしかほぼ関心がなかったんです。

今はメンバーやチームの成長のために自分に何ができるかなと悩む時間がずっと増えました。部長という立場なので当然と言えば当然なのかもしれませんが。
でも、自分の価値観がこの短期間で大きく変化しつつあると気づいたときに、我ながら驚きました。

ー人間関係の基本スタンスとも言える部分ですね。それは大きな変化ですね。

周りをリスペクトし合う好循環が根付いている環境に身を置くだけでも、自分の価値観ってこんなに変わるんだなと、新しい発見でしたね。
仕事のスキルだけでなく人間的な成長もできる、まさにジョリーグッドは最高の「成長環境」だと感じています。

ジョリーグッドの中にいると際立つ「自分自身」


ージョリーグッドは、どうして成長環境なのだと思われますか?

私の例にあったように、自分の得意が何なのかを気づきやすい環境というのが、大きな理由の1つだと思います。でも、その得意に気づいただけではまだスタートラインに立っただけでしかなくて、それを引き伸ばしていくために、どんな行動を自分で取り続けるのかが大事だと思うんですよね。

ジョリーグッドは社員に最高の成長環境を提供することを公に約束している会社であり、どの社員にも「早期の挑戦と小さな失敗」から、自分の成長につなげるというサイクルの繰り返しが許されています。

私が昔から好きな言葉で「Start small, Fail early, Learn fast!」というものがあります。
これは、小さくでもいいからとにかくまず始めてみて、失敗から早く学んで先に進め、という言葉です。まさにそれを体現して実践してる会社がジョリーグッドであり、最高の成長環境と言われる所以だと思います。

ー今後したいチャレンジを教えてください。

自分たちのチーム発信で、新しい事業を1から立ち上げることに挑戦してみたいと思ってます。
これまでは事業モデル自体の枠組みや、協業体制の土壌がある程度用意されてる中で、ビジネスをどう社会実装させるか、グロースさせるかということに注力してきました。

なので、ネクストステップとして医療現場の様々な課題や実態を正しく理解するための手数を増やして、それらの課題を解決するための事業の種を1から創出してみたいですね。

私の個人としてのこの会社での最終目標は「どんな環境でも生き残っていける最強のプロジェクトマネージャーに成長すること」です。

ジョリーグッドという会社自体は大好きですが、とはいえ、自社のサービスや人だけを見すぎて、ジョリーグッドナイズドされ過ぎるのもよくないかなと思っているんです。なので、最近は意図的に社外の展示会や勉強会、異業種のプロジェクトマネージャー同士の座談会などに積極的に顔を出すようにしています。
また最近は、応用を見据えたプロジェクトマネジメントの基本型の習得も重要と考え、プロマネの国際資格(PMP)の取得に向けた勉強をコツコツ継続しています。

そうやって得た社内外で使える知識・情報をチームにも還元し、自分たちのプロジェクトにも取り入れられそうなところは少しずつ試しています。チームにとってベストなプロジェクトの形を探っていきたいです。

ーご自身の目標の過程で得たものも、チームに開かれる姿勢が素晴らしいと感じました。

(ライティング:橋尾 日登美)