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【自分語り】僕がウルトラマンの世界に行ったとしても【異世界転生について】


「もし、お前がウルトラマンに変身する世界に行ったら、お前は元の世界に帰りたいと思うか?」


昨日、いとこと電話で話している時、そんな質問をされた。

僕の答えは決まっていた。

…それでも迷った。

……とてつもなく迷った。


話の発端はこうだ。小説家になろうに投稿されている「異世界転生もの」について議論していたのだ。

自分は「小説家になろう」に投稿されている小説はほとんど読んだことがない。だが「トラックに轢かれ、チート能力を得て異世界へ」というテンプレがあることは知っている。

そして、僕が常日頃思っているのは、「なぜそんなスッパリ異世界を受け入れることができるんだろ。帰りたいと思わないのか」ということだ。

いとこに言わせると「チート能力をもらって、自分の思うがままに生きられる世界に行くんだ。帰りたいと思うはずがないだろ」ということらしい。

だけど考えても見てくれ。

誰にだって家族がいるはずだ。大切に思ってくれる両親がいるはずだ。そんな人達の愛を忘れて、そのまま一生会わずに生きていくなんて、そんなこと本当にできるんだろうか。絶対に恋しくなるはずだ。お父さん、お母さんに「愛してるよ」と言いたくなるはずだ。抱きしめたくなるはずだ。

それに良心も痛むはず。何も言わず、ある日突然この世界からいなくなってしまうなんて、なんて親不孝ものなんだと自分を呪うはずだ。

「お前は恵まれてんだ。言ってやるな」といとこは言う。

確かに、僕は恵まれている。両親は厳しいけど、僕のことを愛してくれている。親戚の仲だって良い。

だけど、恋しくなるのは、何も人だけに限ったことじゃない。

普段見ている何気ない風景、夕焼けの空や近所の荒川。そう言った自然の美しいものから。うるさい学校の廊下だったり、汚い自分の部屋みたいな、見飽きた日常のワンシーン。

そういった何気ないもの。でも見れなくなったら絶対に恋しくなる。遠くの故郷を思う旅人のような気持ちに絶対なるはずだ。

でも、確かに僕は恵まれているのだろう。こんなことを呑気に考えられるだけ、僕は幸せものなのかもしれない。でも、だからこそ、

僕は、たとえ異世界転生をして、どれだけチート能力を与えられたとしても、どれだけモテモテになったとしても、どれだけファンタジーな世界の覇者になれたとしても、今生きる世界を恋しく思う気持ちを失いたくない。この世界を、親を愛する気持ちだけは強く持ちつづけていきたいと思う。





で、こっからは完全厄介な自論です。


もう一つ、僕がい異世界転生ものにはまれない理由があります。それは、僕の信念。僕の熱い思い。

人間は今の自分で努力するから素晴らしいんじゃないのか!


チート能力なんかもらってどうする? 今の自分でやれるだけのことをやるから人って素晴らしいんじゃないのか!

僕は松岡修造じゃないし、熱血漢というわけでもないけど、人間の素晴らしさは努力にあると思うんです。

僕は確かに恵まれている方だけど、友達には、なんならいとこにだって「生き辛くて可哀想な奴」って言われるんですよ。

僕は昔からヒーローに憧れていました。だから好きじゃないけど格闘技やって、好きじゃないけど毎日体を鍛えてきたんです。

今までやった格闘技、

空手、柔道、相撲、ボクシング!


中学の頃の自主トレーニングメニュー、

ランニング10km、腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワッド、懸垂、それぞれ400回以上!


こんなメニューを放課後家帰ってほぼ毎日! 高校になってメニューの変化はあったりしたけど自主トレーニングはやりましたよ。

ただひたすらに強くなるため、大切な人を守るため、ヒーローになるため!

僕は本来、絵を描いたり、本を読んだりするのが好きなインドア派の人間です。運動は大嫌いです。それでも頑張りました。

……しかし、僕は弱かったです。

これだけ筋トレを必死にしていても、ついに腹筋が割れることはなかった。ムキムキの上腕二頭筋はできなかった。僕は筋肉がつきづらい体質なんだそうです。

試合にも何度も出場しましたけど、勝てたことなんて、数えるくらいしかありません。賞を取ったこともありましたが、不戦勝によるものでした。

自分で言うなって感じですが、真面目人間であるわけで、ルールとか、正しさ、公平さを重視する方なんです。それが理由で同期から嫌われることもありましたし、人生において損することも沢山ありました。というか、今もよくしています。

おまけに、これは関係ないけど運が悪い。これは完璧な思い込みですけど。

だけど、それでも、

僕はこの世界で生きてやる!


泥水啜ってだって、地べたはってだって、力強く生きてやるんです!

負けたくないから、立ち向かって生きたいんです。思い通りにならない人生を、なんとか頑張って生きているから、生きている実感ってあると思うんです。

異世界なんかに逃げたくはない。現実で、ここにある現実で生きるから、頑張って生きるから、人って素晴らしいんだ! かっこいいんだと思うんです!

…まぁ完全に厄介な自論ですけどね。でも、そのくらいの心持ちで生きていきたいと思っているわけです。


というな自論を言って、「俺は異世界には行かない! 行ったとしても帰る道を探す!」といとこに言ったんですよ。

そしたら、

「もし、お前がウルトラマンに変身する世界に行ったら、お前は元の世界に帰りたいと思うか?」

「もちろん、元の世界に帰ったら変身能力は失うからな」と言ってきたんです。ちょっと笑いながら。

おーっと、僕のヒーローになりたいという願望を知っているいとこだからこそ、うまいところをついてきました。

しかし! 僕が守りたいと思ったのは、今! ここにいる世界のことです! それにやはりこの世界は恋しい! 

だから、はっきり言ってやろうとしましたよ。僕は帰りたいと思うと。

だが、ここでハッと僕は思いました。

ウルトラマンの僕がいなくなったら、その世界はどうなる?


ウルトラマンに変身する世界ということは、当然怪獣とかがいるはずです。その世界から、ウルトラマン僕が、僕の勝手な思いでいなくなるのは良くないことなんじゃないのか。

その後は、またいとこと議論です。

いとこ「その世界に他のウルトラマンはいるものとする」

僕「しかし、ウルトラマンである以上、平和のために戦う使命を投げ出してはいけないはずだ」

いとこ「では、その世界の怪獣は、全て倒したものとする」

僕「地球は大丈夫でも、宇宙にはまだ危機が潜んでいるはずだ」

なんてことを深夜テンションで長いこと話していましたね。

まーいとこもよく付き合ってくれるものですよ。

で、最後はいとこにうまくまとめあげられる形で「うーん、確かに帰りたくなくなるかも」という結論に導かれちゃいました。いとこに議論で勝てた試しがありません。

まぁ結局色々な考えがあるってことですよね。自分の意見だけが正しいと思わないように自分にいい聞かせなくちゃって思った昨日の夜の話でした。




ちなみに、今は力ではなく、物語を書くとこでヒーローになれたらなと思っています。読んだ人が、勇気づけられたり、励ましたり、頑張ろうと思えたりするよな物語を書けるようになりたいなぁと夢見ています。

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