【短編小説】セコンドアウトワンスアゲイン【雑文】
見知らぬホテルの一室に僕はいた。
綺麗に敷かれたベッド一つが、部屋の大半を埋め尽くしている。間接照明の橙の光が、部屋のあちこちからぼんやりと放たれ、それは何処か官能的な印象を僕に与えた。窓の外は、曇り空の薄暮だった。膿んだ白い雲が、空一面を覆っている。一人の僕は外の景色をじっと見た。
山並みは見えず、かといって都会の熱帯雨林が広がっているわけでもない。ただ、ビルがちらほらと生えている田舎の街並みがあった。
僕はぼんやりと突っ立っていた。真顔だが、何も感じていなか