倫理学と生物学

 わたしたち人間には倫理というものが備わっている。これは非道なことを拒絶する、生まれ持ったものである。ところが、生物学という唯物論は、ある意味で、わたしたち人間をこなごなにする。それは一つの細胞から、生物が次々と育ったことや、遺伝子は生物を乗り物にしているに過ぎない、ということである。

 だが、わたしは倫理というものは、知性的な人類の発明であり、それは永遠に問うことが出来る哲学なのだと主張したい。倫理がなくなれば、過去に起こったアウシュビッツも肯定されてしまうだろうし、そもそも通常の人間からしたら、このような悪魔の非道を理解できないのは当然である。

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