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【詩】好きで

好きで
好きで
でも、見つめられると
存在論的に不安になって「地獄とは他人のこと」

わからないのに
サルトルなんて買ってしまったりして
急いで読んだけどちっとも入らなくて
ー関係ないものを読んだなー

反省してみたものの

あの眼差しを思い返すと一瞬、この身体が消し飛んで
魂だけがここにあって

あなたを求愛していて
でも、無理かなって勝手に諦めて
行動としてはあまり変わらずワンダーコア

それでも
好きで
好きで

笑顔になって
眼はすっかり細くなって
日本人なのに唐突にxiの発音を呟きたくなって
おかげさまで
すっかりと肥えて
この思いだけで満足していて
そり舌母音の練習を気まぐれにする

突然、
好きにしてとなぜか思って
預金通帳の金額をこの人に見せたく思って

そして、その三分の一ばかりは、
彼女のために使いこんでもいいと思って
三分の一というのがけちくさい
あと、六分一という地名がそう言えば日本のどこかにあったなとも思って
頭はますます忙しくなり
数の計算だけは面倒だ

それぐらい好きで
好きで

今日も飯がうまくて
夜は彼女のことを考えると
いつの間にか眠りに落ちるから
ここのところ、不眠知らずで

好きで
好きで

改めて何かの病気じゃないのかしらと
思うぐらい、今夜はひとを好きなのでした


原詩 2010年代
改稿としてのこの詩 2023年11月22日

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