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化学の時間
高校の三年の時、文系の選択科目に、週一の理科の時間がありました。センター試験をほとんどの人が受ける学校ですが(センター試験は私たちが2年目でした。)理科は、「I」しか要らないので、「II」は、不要の授業とも言える為、理科の4科目と家庭科のどれかを選びなさい。というものでした。
私は、化学を選びました。センターでも化学と地学を選択する予定だったからです。
と言っても、不要と言えば不要教科で、先生も、楽しい実験を主にする授業でした。
ある時は、瓶に、重曹と酢を入れて風船を被せて膨らませる実験をしたり、
シリンダーに、紅茶など入れて、酸性の物や、アルカリ性の物を入れて色の変化を見たりと、毎回、ゆる〜い実験をしていました。
最後の授業の時、化学の先生は、毎年恒例の実験をしてくれる事になりました。
その授業は有名だったそうです。
大きな水槽に皮を剥いただけの「みかん」がたっぷり入っていて、各班は、ビーカーで、“みかん”を分けてもらいました。小さいビーカーには液体が入っていて、
「今日の実験は“みかん”の薄皮剥きの実験をします。」というのです。
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と、言っても“みかん”の入ったビーカーに先生が配った液体を入れ、薄皮が溶けるのを待つだけ。この、時間が重要で、短くても、長くてもちゃんとした「剥きみかん」が出来ないらしいのです。
で、薄皮が溶けた頃を見計らって、水洗いをして出来上がりです。
先生は楽しげに「おーい、ここにシロップも持ってきてるから取りに来い」と、三角フラスコを振って各班に試験管を持って取りに来させました。
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先生の実家は、みかんの缶詰工場だと後から聞きました。
三角フラスコに、試験管、ビーカーの中の「みかん」は食べるのに勇気がいりました。
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