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【自分次第で未来は変えられる】をおしえてくれたのは元夫の不祥事でした ⑤「今から死にます」と電話してきた人

↑のつづきです。

ここまで、あれこれと思い悩んでいる間に、新居へ引っ越しをしています。長男の入学式、長女の入園式の写真はあるのに、その当時の記憶が全くありません。うつ病になってしばらくしたところで、自分のことがよく分からなかった時期。思い出しても良いことはなさそうなので、素敵な物忘れだと思うことにしています。

離婚するというゴールを決めたことだし、ちゃんと会って話をしよう。そう思い、子どもたちを連れて、名古屋まで夫に会いに行きました。やっとこの行動ができたのは、子どもたちと3人で、大阪で生活を始めてしばらくたった、夏休みのことでした。

夫が借りている名古屋のマンションにつくと、迷惑そうに玄関を開けて、大荷物を持った私の顔を見た時の第一声は。

「子どもたちは泊まっていいけど、彼女が嫌がるから今日大阪に帰らないならどこかホテルとって」

よくもまあそんなひどいことが言えたものだわ。とは言わずに、と言うか、言えずに、「分かりました」
と近くのビジネスホテルを予約。宿泊代6,000円くださいともやっぱり言えず、言葉を飲み込んでばかり。いつまでたっても、相手の反応が怖くて言いたいことが言えないままです。

それでも部屋にはあげてもらえたので、さあ! きちんとお話をしましょう、と思った瞬間。夫の携帯電話が鳴りました。

「うん。うん。違うから!違うから!」

どうやら運命の人が、家族が来ていることを嫌がって電話をかけてきたようです。

「待って! 信じて! やめて!」

なにやら慌てる夫。電話を切り、

「彼女が今から薬飲むって言ってるから止めてくる!」

転げるように玄関へ行き、靴を履き始めました。その背中に向かって。

「薬?」

と聞くと。

「薬飲んで死ぬって言ってる!」

「お腹痛くて正露丸でも飲むんじゃない?」

そう言った私を振り返り、親の仇でも見るかのような目で睨み付け。
「彼女が死んだらどうすんねん!」

と、夫は震えながら怒鳴りました。
(知らんがな。死なんがな。それより子どもに聞こえてますがな)
と言う心の声はすべて飲み込み。

「わかりました。行ってらっしゃい。話したくてわざわざ名古屋まで来たんだし、ここで待ってますね」

アホくさっ! と思いましたが、物わかりの良い妻を演じつつ、真顔で夫を見送った時。これで夫をちゃんと嫌いになれそうだ。そう思いました。

ひどいことを言われるよりも、冷たくされるよりも、好きになったころとは変わってしまった姿を見た方が、相手を嫌いになれるのかもしれません。


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