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衝撃‼️「これ,ドラマで見るやつやん」

これは,臨時講師・小学校教諭として16年間学校現場で教育に携わったある人物が見てきた景色ーーをそれっぽく,安っぽく文字にして綴った,ただの日記であり,ただの記録である。ユニクロで買った洋服のタグより少し丁寧に扱ってくれればよし。

・ビリビリにされて粉々になった

破られたのは紙で,粉々になったのはチョーク。
どちらも,よっやく私と数人の女子の手によってちりとりの中に収まった。


先生2日目,授業が始まる。年度途中とはいえ容赦はない。
授業なんて,教育実習以来していない。
ここだけの話,実は実習中も楽しそうな図工と音楽しかやってない。
自己紹介をと思って印刷したA4の束を持って,私は4年生の教室のドアを開けた。そこには新しい先生との勉強を楽しみにして,目をキラキラさせた子どもたちが机に座っていて
「おはようございます‼️」「先生は何歳ですかー⁉️」「彼女いるんですかー⁉️」
「おはよう‼️」「二十歳だよ‼️」「それは内緒ねーー‼️」
と,微笑ましい展開が繰り広げられ・・・る状態ではなかった。

目をキラキラさせるとか質問するとか以前に,そもそも半分くらいの子が席に座ってさえいなかった。おおお。

とりあえず声をかけてみんな一応席についた。自己紹介をした。
みんなのことを知りたいからと言って,名前とか好きなものとかを記入する自己紹介用紙を配布した。
とにかくみんな元気がいい・・・いや,うるさい。
半分くらい配った頃,ある男の子が椅子の上に立った。
何やら不平を叫んでいる。不平不満というのはこぼすもんだ。
叫んで撒き散らすものではない。まぁ子どもだからいいか。

次,片足を机の上にどんと置いた。
くつで机に乗ってはいけない。裸足でも良くない。少なくとも日本では。

次,叫んだ。「お前なんかが配った紙なんていらん」
そういう時は・・・どうするんだろ。

次,用紙をビリビリに破って捨てた。嗚呼,なんと悲しい紙吹雪。
紙吹雪は,よくわからんけどめでたい時に撒くものだ。多分。

何人かの子どもは大いに笑った。全く品がない。
ほとんどの子どもはニヤニヤ笑った。それも品がない。
数人の子どもはため息をついた。君たちが正しい。

半数以上は品がない方だったので,当然教室は収集がつくわけない状況。
担任は自分の机で丸つけをしていた。そっか,忙しいんだね。

私は・・・・とりあえず・・・
教卓の引き出しに,チョークが入った箱がいくつかあったので,
一つだけ教室の後ろの黒板に向かって,思いっきり投げた。

グシャっという音がして,箱の中にあった黄色いチョークが粉々になって飛び散った。そして教室は無音になった。しばらく全員沈黙。

女の子が一人立ち上がって,ほうきとちりとりを廊下に取りに行った。
数人がそれに続いた。なんか気まずくなったので私も続いた。
ついでに誰かが,悲しい紙吹雪の残骸もほうきで綺麗にはいた。

無事に教室はきれいになりましたとさ。
自己紹介カードも書いた。めでたしめでたし。

学級崩壊。そういえばドラマで見たことあったな。
あれは,フィクションだと思ってたけど,違ったんだね。

明日の授業どうしよう。


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