土曜のバイト終わった俺は最強

午前5時45分に起きる。
部屋の中は今の時期だと真っ暗で
朝は10℃を下回る
バイトは6時からで家から10分もあれば着く。
部屋中に響き渡るバカみたいにうるさい目覚ましに嫌気を刺しながらも毛布の偉大さを
10秒ほど噛み締めて起き上がる。

薄暗い部屋でバイト用のチノパンを履いて
一服もせずに家を後にする。
空はまだ陽が登っていなく俺を虐めてくるかのように氷のような冷たい風がお俺の体を痛めつける。
歩きながら気持ちをバイトモードに持ってく為に
テクノで気持ちを高ぶらせながら5時間後の自分を最強に持っていく準備をする。
薄暗い空の下からこれもまた嫌気がさすほどのバイト先のLEDライトは「暗闇の中から一筋の光が差し込む」と言う明らかに人生が好転した比喩表現に相反するものだ。
そのライトは俺にとって地獄の始まりで戦いの始まりだ。

事務所に入って待ち構えてるのは俺の相棒のおそらく40代子持ちの小高さんだ。

この相棒とはとにかく仕事をする上で相性が悪い。小高さんは俺よりも勤務経験が長く淡々と仕事をこなす人だ。
自分も淡々とこなす方だが仕事が早いわけでもないしたまにミスをする。
奴は俺の仕事までも横取りして何もかも一人でこなすからこちらとしてはレジに立っているだけで
退屈になってしまう。
なのに2オペにも関わらず奴が仕事をミスをした時何故か俺が注意される。
俺は突っ立ってるだけなのに。
土曜の朝を一緒に乗り越えてく仲間としては
言い返すのも良くないと思い言い返したい事を飲み込み「スイマセン」と謝る。
彼女のせいで最近自分の気持ちに我慢をするのが慣れてしまっている。

そのせいで考えれば分かるような危ない場所に飛び込むワクワクとドキドキ、
何かを犠牲にして欲しいものを手に入れる背徳感を忘れてしまっている。
だからクソつまんない世の中だなって感じる事が多々ある。
大人になっちゃってるのかな。なんて
シドヴィシャスが言ってた「大人には知性なんてものはまるでない。子供であることをやめるってことは物事に興味を失うということなんだ。」
この言葉に聞くたびに俺は何事にも好奇心旺盛でありたいと思うし少しずつ思考が大人になっていく自分を後ろめたい気持ちになる。

薄暗い空から陽が登りバイト先のライトよりと同じくらい眩しい陽の光を見た瞬間バイト前の明らかに人生が好転したあの比喩表現を確実に理解する。
バイトは11時で終わる。10時59分
この最後の1分間が意味のわからないほどに長い。
11時になると相棒の小高さんにお疲れ様でしたと声をあげコンビニでアイスコーヒーを買い近くの公園でずっと我慢していた一服をする。

この土曜のバイト終わりのタバコがうますぎる...
どこかの大学の研究によるとタバコを吸う事で幸福度が10%upするらしいが、5時間の地獄から解放されたのと土曜はまだあと13時間もあるという事がさらに俺の幸福度をタバコが上げさせてくれる。
土曜のバイト終わりの俺ほど有意義な一日を過ごしてる奴はかなり少ないと言う優越感に浸りながらタバコをもう一本手に取りチェーンスモークをする。

土曜バイト終わりの俺は最強だ。
今から寝て夜中クラブで音に狂おうか。
このまま大好きな友達に会いに行こうか。
何をするにしても、、

土曜の俺は可能性が無限大だ。


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