見出し画像

【映画評】B・キートン/C・ブラックマン監督『キートンの大列車追跡』(The General, 1926)

 キートンの操る列車は、走り出すや否や切り離され、それに伴って、残された機関部・燃料部へとドラマ展開が集約されていく。列車描写のあり方とドラマツルギーとの因果関係は、スタンダードからワイドへと画面サイズが切替えられていく中でどのように変化したのだろうか。
 本作はディズニーの『機関車大追跡』(1956)に30年先んじて1862年の北軍密偵による南軍列車(ジェネラル号)強奪事件を映画化したものだ。但しこちらはキートン演じる南軍の架空の機関士ジョニーが主役で、後半、ヒロインを救出し北軍を破る展開もフィクションである。
 当然、北軍のアンドルースは悪役だが、『機関車大追跡』で確認してから見直すと、事件前半の経緯はかなり忠実に再現されていると分かる。この大追跡劇がそれだけよく世間に知られていたということだろう。後半はキートンに本領を発揮させる為に物語を変更したか。実際にはなかった汽車転落シーンは必見だ。
 まぁ、ディズニーの方がキートンを参考にしているという可能性もあるかもしれません。

✳︎ディズニーの『機関車大追跡』(1956)についてはこちらに書きました。 https://note.com/jolly_llama821/n/n5493724e0d49?magazine_key=m5cd920d14665

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?