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【映画評】ヤン・デ・ボン監督『ホーンティング』(The Haunting, 1999)

 これは正真正銘、ロバート・ワイズの傑作『たたり』(1963)のリメイク作品で、かつてジュリー・ハリスが演じた腺病質なヒロインを、今回はリリ・テイラーが見事に演じている。『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)のサリー・ホーキンスに繋がる様な、ホラー映画に典型的なスクリーム・クイーンとは異なる繊細な演技の系譜を、この辺りに見出すこともできようか。
 確かに大味で、余韻たっぷりだった『たたり』ファンからすればかなり物足りないだろう。しかし、この作品で大々的に導入されたコンピュータ・グラフィックスとそれによって見た目明らかに息づき始めたゴシック教会のような幽霊屋敷は、この映画ジャンルのトレンドが確実に変わったことを告げている。要はこの後、幽霊屋敷映画にあっては、屋敷の視覚的な擬人化が、これでもかと推し進められることになるわけである。

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