龍神とぼく
『はぁ〜なんであんなこと言っちゃったんだろ』
今日、ぼくは学校で友達にひどいことを言った。
友達のゆうきくんは給食を食べるのがおそいんだ。
ぼくはそれをからかった。
『なんでそんなに食べるの遅いの?もう2年生なのに1年生の子より遅いじゃん』って。
ゆうきくん涙目になってたな。
ぼくはいつもこうなんだ。
分かってるのに。
嫌な言い方しちゃうんだ。
ぼくは時々、大きな池が見える丘に行く。
ぼくのおじいちゃんがよく言うんだ。
『あの池は高いところから見たら龍の形をしてるんだぞ。
龍神が住んでるんだ』って。
でも、ぼくはまだ大人じゃないから丘の上に行っても池全体の形が見えない。大きな木があるけどまだ登れない。
今日は、その丘に行ってみた。
大きな池。
風が気持ちいい。
目をつむって深呼吸。
すると風が吹いた、ぼくの上を黒い影がおおった。
目を開けると
『うわっ!』
ぼくはびっくりして、尻もちついた。
見上げると、龍!
龍がいた!
すごく怖いんだ。
黒い龍。
すると、
『ぼうず、わたしが怖いか?わたしはどんなふうに見える?』
『こ、怖いよ!真っ黒で大きくて目も怖い!』
『ほう、ぼうずには、わたしが真っ黒に見えるのか。目も怖いか。ぼうず、それは、お前の今の心だ。本当のわたしが見えてないんだな。だれかを傷つけたのではないか?』
(え?…あ、ゆうきくん。)
『うん、友達をからかった』
『いいか、ぼうず、誰かに言いたいことがある時は、まず自分の心の中で考えてみろ。どんな言葉が傷つき、どんな言葉が嬉しいか。わたしの本当の姿が見たければやってみろ。そしてまたここに来い』
また風が吹いた、その瞬間、目の前の龍は消えた。
次の日、宿題で分からない所があるって、かずきくんが言ってるの聞いてぼくは思わず
(そんな問題もできないの?バカだなぁ)
って言いそうになった。
その時、あの黒い龍の言葉が浮かんだ。
(あ、ダメだ!傷つけちゃう)
ぼくは言葉を飲み込んだ。
今日もあの丘に行ってみよう。
丘について、しばらくすると風が吹いた。
龍だ!
あれ?黒くない。
昨日の龍と違うのかな?
『ぼうず、今日のわたしはどんな色だ?』
『青。目も怖くない』
『そうか、お前は、わたしが言った事をちゃんと守ったんだな』
『うん、バカって友達に言いそうになった』
『そうか、いいか、ぼうず。汚い言葉は使うな。きれいで優しい言葉を使え。そして、1人1人のいい所を知るんだ。自分の事も大事にして、人の心も大事にしろ。できるか?それができたら、またここに来るといい』
ぼくは不思議だった。
真っ黒な龍が、青く、目も怖くなくなってた。
龍の言った事を守ったからなの?
ある日、ゆうきくんが他の子にからかわれてた。
『お前、本当に食べるの遅いな。なんなんだ?チビチビ食べて。もっとしっかり、口を開けて早く食べてみろよ』
ゆうきくんは今にも泣きそうになってた。
龍が頭に浮かんだ。
『やめろよ!ゆうきくんだってわざとじゃないんだよ。そんな嫌な言い方しなくてもいいだろ』
『ちっ、なんなんだよ。』と、みんなはどこかに行った。
『ゆうきくん、大丈夫?ごめんね、ゆうきくん。ぼくもこの間ひどい事言って。ゆうきくんは悪くないよ。食べるのちょっとくらい遅くたって、ゆうきくんはお勉強得意だし、優しいし。大丈夫だよ』
『ありがとう!けいくん!』
ゆうきくんは嬉しそうに笑った。
それからしばらくして、ぼくはまた丘に行った。
するとまた風が吹いた。
ぼくは驚いた!
金色に包まれて透き通るように青く輝くキレイな龍!
目もとっても優しい!
『ぼうず、わたしが分かるか?これが、わたしの本当の姿だ。お前はちゃんと、守ったんだな。よくやった。それでいいんだ。わたしの言ったことを忘れるな。それが、お前のこれからのためだ。』
今までよりも強い風が吹いた。
ぼくは思わず目をつむった。
目を開けると龍はもういなかった。
あれから、8年ぼくは高校生になった。
ぼくは、ふらっと丘に行ってみた。
あの頃と全然変わらない景色。
そこに立つ大きな木。
『この木登った事なかったな、今なら登れるな』ぼくは木に登った。
すると、そこには
おじいちゃんが言ってたようにあの大きな池が龍の形をしている。
すごい!本当に龍の形だ。
初めて見た。
すると、風が吹いた。
池がみるみる金色に包まれた。
そして、その池が透き通るような青色に輝いた。
『龍神だ!』
ぼくはしばらく見ていた。
すると、
『よう、ぼうず。大きくなったな。』
そう声が聞こえた。
今のぼくにも龍が、龍神が見えた。
ぼくの心はまだキレイなままなんだな。
おしまい
最後まで読んで下さりありがとうございます😊
龍が好き🐉
龍神が大好きな私です😁
なので龍神が関わるお話が書きたくて。
長文になってしまいました😅
マキさん、イラスト勝手に挿入してごめんなさい。
ありがとうございます。
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