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8 職員の士気を高めるもの ~勘違いと劣等感がすべて~

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毎回言いますが、これはフィクションです。

 地方公務員は、人のやりたくない仕事を、税という会費を住民の方から、強制的に集めて、やっていく、やりがいもない仕事をやる雑用係です。これについては、「1 地方公務員は、覚悟がいる ~会費とサービスの関係~」に書いた通りです。
 それなのに、中には、大変な情熱を持って仕事をしている人もいます。主に、技術屋さんと呼ばれる、技術系専門職の方々ですが、一般的な事務職は、決められたことを決められた通り、言われたことを言われた通りにやるのが仕事なので、全くモチベーションが上がりません。
 そんな中で、事務屋さんの中にも、高い志気を維持して、仕事をする人たちがいます。いわゆる上昇指向を持っているひとたち、つまり、「偉くなりたい人たち」です。「4 地方公務員の知的レベル感 ~「行進」以下が大勢を占める~」でも書きましたが、公務員には基本的に学歴は不要です
 「行進」の方々でも、結構良い線までいけます。小さな地方都市であれば、「副市長」という、事務方の最高峰まで上り詰めることも夢ではありません。なんとなれば、早慶以上の人はそんな地方都市には就職しないからです。
 都道府県レベルでも、学歴が関係ないという状況は全く変わりません。事実、七側県では、高卒の方々が局長級という、民間でいう最高経営層につくことも、珍しくありません。こんなことは、民間では、多分、菱形が三つある、エリート大好きな会社では、絶対に起こり得ません。
 なぜこのようなことが起こるのか、それは、仕事ができると判断される基準と、頭の良さが全くリンクしていないからです。つまり、頭を使う仕事があまりないということです。「5 論理的な思考力より必要なもの ~盲従する能力~ ②」の中でも明らかにしましたが、とにかく、論理的合理性などあまり関係なく、猪突猛進型で仕事をしていく人が突き抜けていく世界です。なので、とにかくどんどん仕事をやる、どちらかというと、体力が続く限り仕事をするというイメージの方が強いかもしれませんが、とにかくやる人が突き抜けていきます。
 この場合、知的なレベルはあまり関係なく、兎に角やればいいので、学歴は全く関係ありません。仕事の困難度は、知的に難しい仕事というより、量的に難しい仕事と言った感じです
 こういう環境の中では、逆に、知的な環境の中で育ってきた人達は、しらけてしまいます。なぜなら、自分の持つ知的な能力を使うまでの仕事ではなく、何も考えずにどんどんやればいいからです。つまり、自分ではなくても誰でもできる仕事だからです。また、納税者の理解が得られるかどうかなど、全く関係なく、税金をどんどん投入して、知事がやれと言ったことをやればいいのです。なぜなら、住民は、地方公共団体の施策、特に都道府県の仕事には、全く興味がないからです。合理性など微塵もなくて、とにかくやってやって知事の覚えをめでたくする、この一点に全てがかかってきます。
 
そうした中で、力を発揮させる原動力、つまり、モチベーション、あるいは、モラールの源泉になるもの、それが二つあります。
 1️⃣勘違いに基づいた根拠のない自信と、2️⃣爆発しそうなくらいの劣等感、です。

 1️⃣勘違いに基づいた根拠のない自信について
  これと次の項目も一緒ですが、主に低学歴の方々に当てはまるものです。猪突猛進型で仕事を進めていくと、それなりに目立ち、そして、上からの引きがあるようになるのですが、その際に、知的合理性や、論理的思考力などが全くなくても、とにかく上から言われたことをやることができれば良い
 いろいろ考えて、住民のためになるのかなとか、税金使いすぎじゃねえ、こんな住民のためにならないことのためにさ、なんて、思ったりすると、どうしても仕事の勢いが鈍ります。自らの考えをめぐらせ、それが、論理的で合理的であるほど、仕事に力が入らない、仕事に向き合えない、逡巡してしまうということが起こります。
 その点、そうした頭の良さがない人たちは、自分の考えがないので、頭の中をまっさらなので、何の疑問も感じずに、なんでもできてしまう。
 つまり、地方公共団体における仕事の出来不出来というのは、考えるのか考えないのかということで、考えたほうが負けということになります。論理的な思考力があればあるほど負けてしまう。累進課税のような不公平な世界です
 なので、低学歴の方が猪突猛進型で仕事をすると取り立てられることが多いのですが、それは明らかに能力があるから、ではなく、何も考えないからなのです。
 それなのち、そうした構造も理解できず、自分が少し抜きん出たのは能力があるからではないか、というとんでもない勘違いで、全く根拠のない自信が芽生え、何も考えずに仕事をしていくという、最悪のスパイラルに陥って行きます。
 こうして、能力もないが、根拠のない自信に満ち溢れた、勘違いの塊がどんどん増えて行く
 だから、七側県では、高卒の方が局長級になったりすることが起こる。ある意味、当然のことです。知的な能力がないほうが、仕事にどんどん取り組めるからです。これって、ダニング=クルーガー効果ですよね。能力や経験の低い人ほど自信過剰になることです。

2️⃣爆発しそうなくらいの劣等感について
 
もう一つ、職員を仕事に駆り立てる大きな要素は、劣等感です。地方公務員には、学歴は全く関係ありません。農業高校の出身で副知事になった例もあります。
 要は、東大を出ていようが、早慶を出ていようが、「行進」の大学群だろうが、もっと下の大学だろうが、高卒でも全く関係ありません。
 このため、地方公務員になれば、学歴を逆転できるのです。つまり、大学に行けなかった、だけど仕事では東大卒の上司になるとか、早慶に劣等感をとり持っていたけど、早慶の奴らを顎でつかうとか、そういったことが普通に起こります。
 つまり、頑張れば上にいける、つまり、知的な専門性のかけらもなく、上を目指していける環境で、誰が上を目指していけるでしょうか。それは、圧倒的な劣等感を持っている、高卒も含めた低学歴の方々です。
 地方公務員にも、ちらほら早慶以上の人たちがいます。しかし、圧倒的なボリュームゾーンは「行進」の人たちです。M大学などは早稲田落ちが大半を締める関係で、早稲田・慶應に対してめちゃくちゃな劣等感を持っている。また、C大学の法学部などは、かつての栄光もあり、自分はできるととんでもなく勘違いをしているのですが、自分の学部が世間から忘れ去られていることに納得できない。
 地頭的には、例外的にコミュ障のような人たちをのぞいて、早慶の方が圧倒的に頭がいいことは自分でもわかっている。しかし、この世界では、その頭の良さを逆転できるかもしれない。周りを見ると、そんな例がゴロゴロしている。これは、やるしかない。という具合になると思います。つまり、劣等感から逆転したいという思いが、モチベーションになるのです。
 早慶や東大の人の中にも、上に行きたいと思う人はいます。そういう人たちは自分の頭の良さを隠しひたすら言われた通りに仕事をして、偉くなっていく人もいる。
 しかし、自分の論理性や合理性を捨てきれずに、結局白けてしまう人がほとんどです。そんな時に、自分よりも上に行く高卒や「行進」の人たちをどう見ているかですが、何であの人たちが?と思うこともあり、ちょっと悔しい思いを持つかもしれませんが、一番大きな気持ちは、自分の知的レベルと合わない会社に就職したことの不運を嘆くことでしょうね。こんな知的レベルなら、就職しなかったこんなところ、というのが大方の気持ちだと思います。
 七側県では、かつて、一般行政職も、上級試験、中級試験、初級試験と3段階のレベルで採用をしていて、上級が大卒程度、中級が短大卒程度、初級が高卒程度です。上級でも、早慶なら、市販の問題集を3冊ぐらいやれば受かるレベルなのですが、「行進」の人たちは、一生懸命勉強しても上級は落ちてしまう。地頭良さが異なるので仕方がないのですが、中級はなんとか受かる
 早慶が上級、「行進」の自分は中級という区分けされた状況で採用されます。しかし、七側県では、この区分には全く意味がなく、昇格もほぼ同様に扱っていました。ここで、中級の「行進」の人たちにも劣等感を解消し、逆転するチャンスがきます。
 そもそも、同じに取り扱うなら、採用区分の意味は何?と思うのですが、そもそも上級という区分が、七側県には、too muchだったのかもしれません。やっている仕事の中身からしたら、中級でお釣りがくるんだと思います。
 もっと劣等感を加速させるのは、同じ「行進」でも上級になる人もいるので、その場合には、火がつきますよね。
 人事資料で見ると、この人もあの人も「行進」で中級だったんだという場合が多いです。上級は、中級のための目の前のにんじん🥕、逆転したいという気持ちを起こさせる当て馬なのかもしれません。上級で入った人は、バカみたいですよね。そして、みんなしらけてしまうのです。
 
 



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