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🎬ミセス・ハリス、パリへ行く 感想

1957年、ロンドンで家政婦をしてささやかな暮らしをする戦争未亡人のミセス・ハリス。
ある日仕事場で見たディオールのドレスの輝きに雷で打たれたような衝撃を受けた彼女は、自分自身のディオールのオートクチュール・ドレスを作るという夢に向かって動きだす。
ミセス・ハリスのパリでの夢を追いかける冒険が始まる。

着る当てがなくても自分のディオールのドレスがとにかく欲しいというミセス・ハリスの夢を追いかける姿は生き生きとして魅力的。どこにでもいる普通の女性のはずなのに、生きる魅力にあふれていて見ていて勇気がわいてくる。

パリに行きたいと思う気持ちがいくつもの小さな奇跡を起こし、ミセス・ハリスをパリへ、そして憧れのディオール本店へと導いていくのは大人のおとぎ話なのだが、その根底にはミセス・ハリスの真面目さや親切心があって説得力があり、それが出会う人々をも魅了していく。
パリの社交界のしがらみを全く知らないゆえにミセス・ハリスは関わるディオールの人たちに分け隔てなく親切にしていくし、ディオールの人たちもそんなミセス・ハリスに親切にしたくなっていくストーリーは本当にハートフル。

着せ替え人形のような生活に疲れているナターシャがミセス・ハリスに「夢を追う勇気があるんですね」と告げるシーンは印象的で、大人になってどんな現実があっても「夢を追い続ける勇気」が人にとってどんなに大切か、その勇気が人の尊厳をどれほど守るかという思いが詰まっている。

ミセス・ハリスがパリで起こしていく奇跡の一つひとつがディオールの人たちの心を大きく動かしていく展開は終始やさしく温かい。
ディオールの問題をみんなで解決していく姿もワクワクドキドキして楽しくなる。
ディオールの人たちみんなが好きになった。

ロンドンでドレスをダメにしてしまう女優志望の女の子にはパンチ!なのだが、そのことがミセス・ハリスにもっと大きなプレゼントを運んでくれたことを考えれば、許してやってもいいかな。

ミセス・ハリスは自分でがんばってパリに行くのだが、パリに行くまでの小さな奇跡を起こしてくれたのがミセス・ハリスが10年以上も戦地からの帰りを待っていた夫のエドワードだったとしたら?
自分を愛し待ち続けてくれたミセス・.ハリスに新しい人生のスタートをプレゼントしたのが、亡くなった夫エドワードだったとしたら?と思うと全く違った夫婦愛の側面を持った物語に思えてきて、そのやさしさに胸が熱くなった。

終始おとぎ話の夢の国のような物語なのだが、実はしっかりとした人と人との思いやりと愛情に満ちていてさわやかな感動にひたれる作品。
観終わってしばらくは、自分も誰にでもやさしくなれそうな気持ちにしてくれるすてきな映画。
観ればきっと誰かにおすすめしたくなるはずです。

#映画感想文
#映画好きと繋がりたい
#映画好きな人と繋がりたい
#ミセスハリスパリへ行く

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