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三谷幸喜「ショウマストゴーオン」の衝撃

2022 9/16(金)
 
三谷幸喜さんの演劇「ショウマストゴーオン」が再演されるというニュースを知った。嬉しいお知らせだ。
俺がこの作品を観たのは高校生の時である。
当時「古畑任三郎」「王様のレストラン」
などでヒットを連発していた三谷幸喜さん。
東京サンシャインボーイズという劇団を主宰していることは知ってはいたが、芝居を観たのはこの「ショウマストゴーオン」が初めてだった。
と言っても生で鑑賞した訳ではなく、友達の坂本から借りたビデオで観た。坂本はカルチャー全般に造詣が深く、よく色んなビデオを貸してくれた。
貸してくれたものの、三谷幸喜のドラマは大好きだったが、演劇というジャンルに気持ちが乗らなかった。
数は少ないが、俺がそれまで観た演劇というものは、登場人物がわざとらしいセリフ回しや動きをしたり、なぜか動物がしゃべりだしたり、急に人が空を飛んでいたりと、非現実的な物語が多くて好きになれなかった。
だが、この「ショウマストゴーオン」を観て衝撃を受けた。
あらすじは、ある劇団の公演中に舞台裏で起こっているドタバタ。
いわゆる、バックステージもの、という演劇や映画などで昔からあるジャンルの一つだ。最高に面白かった。
演劇のことを知らなくても、何をやっているのかが一目で分かるシチュエーション。ドリフの全員集合のコント位、それはキャッチーだった。
細かい内容はネタバレになるから書かないが、俺は演劇を観ている間じゅう、自分も物語の中にいて、登場人物の一人であるかのような錯覚に陥り、ラストシーンでは登場人物たちに向かって「がんばれ!」と言っていた。
そんな体験は初めてだ。
がんばれって、なんで俺が言ってるんだ。
よく考えたらここは俺の部屋だぞ。今、俺は演劇を観ていたのか。
演劇とは、こんなにも面白いものなのか!
うぉぉ、絶対、三谷幸喜の演劇を生で観に行くぞ!
いつどこでやるんだ、どこまででも観に行くぞ!
部屋で興奮状態だった俺は、ビデオを巻き戻してもう一度最初から観た。
そして、また「がんばれ!」と言っていた。
その後、突如、悲しいニュースを耳にした。
「東京サンシャインボーイズ次回作をもって休みます、次回作のあとは30年間の充電期間です」
嘘だろ。俺はこの先の人生、東京サンシャインボーイズを観るという新しい目的が出来たのに。
次回作でいったんおしまい、あとは30年後って、そんなの解散みたいなもんじゃないか。
とにかく、何がなんでも次回作は観に行こう。
そして、ビデオを貸してくれた友達の坂本と二人で、いったんは最後になる公演「東京サンシャインボーイズの罠」を観に行った。
近鉄小劇場のステージには、生、西村雅彦。生、近藤芳正。生、三谷幸喜の脚本・演出。すべてが最高だった。
生、西村雅彦の頭はピカピカに光っていた。
帰り道、坂本と興奮しながら近鉄小劇場を振り返り、次は30年後なのか、俺たちはおっさんになってるなぁ。じゃあ、西村雅彦はおじいさんになってるから、もっと頭ツルツルやな。
そんな会話をしながら、駅へ向かった。
その後、東京サンシャインボーイズの芝居は観れなくなったが、三谷幸喜の演劇は、パルコプロデュースなどで沢山観に行ける機会が増えた。
「笑の大学」「巌流島」など、このあとに観に行った。
後に、映画化もされた「笑の大学」の初演を観た俺は、未だに、演劇好きの人と話すと必ずといっていいほど、うらやましがられる。
※笑いの大学、については、また改めてこの日記に書こう。
だが、俺の中では、あの「ショウマストゴーオン」を生で観た人の方がうらやましい。
一回だけ観たことがある人と話したが、感想はたった一言
「めっちゃおもろかった」
である。東京サンシャインボーイズが再演するとして、早くて30年後。
一度でいいから、生「ショウマストゴーオン」を観たい。
そんな夢が、朝のニュースでいきなり叶うことになった。
キャストは違う。でも違っていても、あの面白さはきっと変わらないはずだ。そして、三谷幸喜さんのことだから、コロナにまつわる時事ネタも絡めてくれるのではないかと、勝手に期待している。
絶対、観に行くぞ。出来れば、坂本と。
 
 

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