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「四月一日」と書いてなんて読むか?


2022 11/21(月)
 
「四月一日って漢字で書いて、なんて読むか分かりますか?」
先日、知り合いのおじさんから突然聞かれた。
クイズなのか、それとも、俺が芸人だから何か面白いギャグを答えろというフリなのか。
普通に読めば「しがつついたち」だが、「よんがついちにち」とか「よんつきひとじつ」とか。
或いは、古典落語の代書屋みたいに「しげつついたち」とか、読み方のパターンはいくつか考えられる。
「すいません、何かヒントを下さい」
「ヒントは、これは人の名前です、名字です」
えっ、四月一日が名字!?そんな名前見たことない。
「そのまま読む訳ではないんですか?」
「そうですね、ええ、一文字もそのままではありません」
一文字も!?そんなの分かる訳がない。
四月一日の数字をそのまま読まないなんて、なんの為の数字なんだ!
そんなことをしたら、数学者が言語学者を殴りに行くではないか。
「あっ、そういえば」
「分かりましたか!」
「確か、変わった名字で漢字で、一、というのを聞いたことがある、一、と書いて、にのまえ、つまり、二の前は一だからという意味です」
「へぇ、珍しい名字ですねぇ」
「分かった!四月一日で、ごのまえがつにのまえにち」
「長すぎますよ!なんなんですかそれは」
「にのまえの法則です」
「そんな法則ないですよ!じゃあ、ヒントをもうひとつ、四月一日で連想することです」
「連想?新学期とか新入社員のスタートとか」
「その日にある行事です」
「エイプリルフールだ!四月一日、と書いて、うそつき読みます」
「ブー!不正解です!酷い名字ですね、しかもエイプリルフールって外国の行事じゃないですか」
「でも、日本でも定番化してますよ、ドラえもんの中にも」
「何がドラえもんですか!」
考えたって永遠に分かりそうもない。
結局、俺は諦めて正解を聞くことになった。
「発表しますね、正解は、わたぬき」
「えっ?」
一瞬、わっ!たぬき、に聞こえたが、わたぬき?
「わたぬきって、綿を抜くってことですか?」
「ええ、そうです」
「すいません、四月一日に綿を抜く行事って初めて聞きました」
「はらしょうさん、生まれはどこでしたっけ?」
「兵庫県の神戸です」
「神戸ですか、僕は東京なんですけど、いや、実は、僕も正直、知らなかったんですよ」
「どこの行事なんですか?」
「北海道とか寒い地方ならではの行事のようです」
「えー、北海道では、春になったらダウンジャケットの綿を抜くとか?」
「そんな訳ないでしょ!着物に詰めた綿を抜いたりするらしいですよ」
「殆ど同じじゃないですか」
「違いますよ!ダウンジャケットと着物、全然違うでしょ」
「北海道とか寒い地方では、四月一日に衣替えとは知りませんでした」
「でも、正しくは、五月一日らしいです」
「えっ、どういうことですか?」
「四月一日の旧暦に綿を抜いたので、現在では五月上旬あたりのようです」
「えー!だったら、俺が最初に言ったの当たってるじゃないですか」
「最初に言ったのって?」
「ごのまえがつにのまえにち」
日本には、まだまだ変わった名字というのは沢山ありそうだ。
俺はこれを機会に、みんなに聞いてみようかと思った。
 
 
 
 
 

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