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短編小説

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小説まとめました ほとんど超短編小説 思いついたときに書くので不定期です
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2024年1月の記事一覧

超短編小説 ババ抜き

国際法は多数決で作るのがおかしいということで誰もがわかりやすいババ抜きで作ることになった。決勝で一番先に抜けた国が国際法を一つ決めていいこととなったのだ。最後にババを持った国は次の試合に出られない。 四つの国が一つのグループとなってリーグ戦をし上位二国が上のリーグ戦に上がる。16か国になるまでリーグ戦をし、そこから4グループに分かれ戦い一抜けした四か国が決勝に上がる。 グループ分け抽選会から始まり、各国の熾烈な駆け引き作戦は凄かった。今日は決勝だ。 どの国が一抜け出来る

超短編小説 とある国

「紛争で大変な人を助けます」そう宣言した福祉の充実した国に難民は避難した。 避難した難民が祖国と違う天国のような生活を与えられたのを知って次々と難民は集まり大きな集団となった。 常識の違う難民に福祉の充実した国に住む人たちは困惑した。今までの常識が通用しない。善と悪の考えが違うようだ。難民を拒絶する人も出てきた。 難民は自分たちの常識で集団で暴れるようになった。自分たちの住みやすい世界へ変えようと。争いは各地で起こり収まらなかった。 そんな時、一つの国が声を上げた。

超短編小説 老夫婦

年末、家族連れが買い物に出かけ大量の食料を買う中、老夫婦は道の途中で立ち止まった。 「お金が足りない。」夫はため息をついた。 「食費をどうにかすればなんとかなりますよ。」妻は笑って夫を励ました。 子供たちは社会人となり家を出て連絡さえしてこない。夫婦からも連絡はしなかった。 大晦日、わずかばかりの食事をし、寒い中、暖房もつけず毛布にくるまり老夫婦は向かいあう。 「お餅買いたかったけどごめんね。」妻はちょっと泣きそうになった。 「なくても大丈夫、正月が無いと思えば大丈夫。

超短編小説 そこの偉い人

「俺の言うこと聞かない奴はあれな」 「それダメですよ」 「もう仕事はさせないぞ」 立場の弱い人間が恐れ奴隷のように従う。 そんな世界がいろんなところで繰り広げられていたようだ。しかし、声を上げなかった人が声を上げそんな世界の一角が崩れ騒動が起きた。 少し落ち着いたころ、声を上げる人がまた出てきた。同情の声が集まり、また騒動に。 一人の男が自分たちの世界を守るために立ち向かった。 「偉い人間が何しても問題ないだろうが。それが普通だ。偉そうに。俺がこの世界を作ってきた。

超短編小説 あのメーカー

上場はしているが三流と呼ばれてたメーカーの営業達のプライドは高かった。語学ができることが自慢らしく洋楽の歌詞がわからないのに聞いている人間を馬鹿にしていた。 若い営業達の夢は海外で活躍すること。自分たちの会社が世界一になると信じ、自分たちの結婚式でも自社の製品を宣伝していた。 営業先に集団で押しかけ無理やりにでも契約を取るのは有名だった。下請けには酷い言葉で罵倒し納期を守らせ、下請けが赤字になるような契約を結ぶ。いつの間にか無くなった下請けも多い。 営業達は陰で悪口を言