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マニュアル的に戦略を立案することなどできない

教科書で書いていること

教科書を見ると経営戦略の立案方法などが出てきます。
一般的には、内部環境分析として自社が保有している経営資源を把握し、次に外部環境分析を行います。
外部環境分析は、市場環境と競合他社の分析ですが、外部環境はPEST分析とも呼ばれ自社を取り巻く外部環境「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」という4つの外部環境を取り出し、分析対象とします。
現在もしくは将来的にどのような影響を与えるかを把握・予測するためのフレームワークのことです。
以上の2つを組み合わせたのが、SWOT分析です。
SWOT分析とは、内部環境を強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)に、外部環境を機会(Opportunities)・脅威(Threats)にわけて、マトリクスにするものです。
この他、顧客分析で顧客動向を探るなどもあります。
以上をもとに戦略を考えるというのが、教科書の話です。

教科書から生まれる?

しかし、これは今わかっていることで将来予測にはなりません。
古い話で申し訳ありませんが、ソニーがウォークマン(携帯型プレイヤー)を開発する際に市場調査したところもともとそのような商品が無かったので、外で音楽を聴くというニーズはないという調査結果になっています。
それを信じていたら、携帯型のプレイヤーという商品は生まれていませんでした。
最近話題になったのは、2012年にスタートした中国発ファストファッションのネット通販であるシーインが、わずか10年でユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)の時価総額を上回ったというものです。
ユニクロの2021年の売上高は2兆1329億円ですが、シーインの2021年の売上高は200億ドル(約2兆9000億円)とも言われています。
私の近くでもお子さんの洋服をネットでシーインから購入している方もいらっしゃいます。
セーターで1,000円台、アクセサリーなら100円以下からという低価格が強みです。
ファストファッション分野は、インディテックス(有名なブランドはZARA)、へネス&マウリッツ(H&M)、そしてユニクロが三大企業と長く言われ続けていました。
もし、皆さんがこのファストファッション業界に参入しようと考えたとき、どのような分析になるでしょうか。
おそらく、競合が強く価格はユニクロのように同じ製品を1,000万着も生産することはできないので、参入の余地は無いとなったでしょう。
大企業でしたら、いかにも理路整然と無理な理由が語られたかもしれません。
では、シーインはどうしたか。
100着程度の非常に小さいロットで製品をつくり、スマートフォンを使い、インフルエンサーを起用して製品を宣伝し、ネットで翌週には売り切っているような方法をとっています。
商品投入点数は1日25,000着であり、商品の入れ替わりが圧倒的に早いと言われるZARAの年間新作総数と同数です。
デザインの段階では、AIを活用しコストを抑えて流行や消費動向データから消費者に好まれそうな商品のデザインを行い、商品のデザインから、プロトタイプ開発、生産に至るまで所要日数はわずか14日間、最速で7日間に短縮することができます。わずか7日間で製造から販売、ユーザーの手元に届くシステムを構築しています。

飛ぶこと

ここで細かくシーインの説明を行うつもりはありません。
伝えたいことは、自社や競合や顧客、外部環境の情報を収集することは重要なことですが、あくまで情報でありそれをマニュアル通り分析してポンと戦略が生まれるような単純なものではないということです。
その情報をもとにじっと深く格闘して、新しいものが生み出されるものであり、その瞬間にはなにもマニュアルはないと言うべきでしょう。
論理的であることと創造性があることは別物だと思います。
なお、ちなみに海外通販から購入する際、私はPayPalにしています。



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