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ゼロになる身体 -生きている不思議 死んでいく不思議-

呼んでいる胸のどこか奥で
いつも心踊る夢を見たい

かなしみは数えきれないけれど
その向こうできっとあなたに会える
繰り返すあやまちの そのたび
ひとは ただ青い空の青さを知る
果てしなく道は続いて見えるけれど
この両手は 光を抱ける

さよならのときの静かな胸
ゼロになるからだが 耳をすませる

生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ


     覚和歌子「いつも何度でも」(後略)

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あの人の死をこの詞に重ねるとき
生と死はほんとうに紙一重なことに気づかされる
いくつかの偶然の連なりが帰趨を分けただけなのだ

不思議にも死んでいった彼女が
いまも私の胸に息づいていて
不思議にも生きている私に
「生きよ」と呼びかける

いつかゼロに帰するこの身体が
かなしみの向こうに何かを求める
しかしそこにあるのは たぶん
花も風も街も そしてこの私も すべてが一つになった何か
生きることや死ぬこととは無縁の何か


私のまえに道があり
遠くまで続いている
さらなる歩みを強いるかのように

その果てに待ち受けるのは
大いなるゼロにちがいないのに
かなしみの向こう側で
彼女ともういちど会いたいと切に思う

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